内容説明
なぜ田中絹代や原節子や高峰秀子…はあんなに美しかったのか。彼女たちを輝かせたのは、死者たちへの鎮魂の想いだったのではないか。戦争未亡人、復員兵、戦災孤児―昭和二十年代・映画黄金期の名作の数々に戦争の影をとらえ、風化しつつある戦後日本のイメージを、鮮やかに立ち上らせる。
目次
戦争未亡人と死者
田中絹代と戦争未亡人
三船敏郎と復員兵
帰ってきた男たち―復員兵を描く映画
ゴジラはなぜ「暗い」のか
「僕たちの力ではどうしようもない」―今井正監督『また逢う日まで』
戦後を生ききれなかった男と女―成瀬巳喜男監督『浮雲』
貧乏の好きな成瀬巳喜男
母の力―杉村春子から飯田蝶子まで
私が棄てた母親―『日本の悲劇』の望月優子〔ほか〕