内容説明
フロイスが日本への歴史的第一歩を刻した、横瀬浦とドン・バルトロメウ(大村純忠)の敗北による横瀬浦の炎上・破壊の顛末及び、島原・五島・天草・長崎に於ける苦難の布教活動を感情的に描く。また長崎の開港、有馬晴信の父、義貞の改宗など興味深く記す。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。
目次
コスメ・デ・トルレス師が横瀬浦から平戸の島々へ旅行したこと、ならびにそこで生じた成果について
コスメ・デ・トルレス師が平戸から横瀬浦へ帰還したこと、および同所で生じたこと
島原と口之津のキリシタン宗団の端緒について
島原の(新たな)布教に対し、まもなく迫害が始まった次第
島原における他の迫害、およびドン・バルトロメウ(大村純忠)を訪れたことについて
ドン・バルトロメウが敗れ、横瀬浦が炎上し破壊された次第、ならびにコスメ・デ・トルレス師が先に行なった誓願について
島原および口之津における他の苦難、また、コスメ・デ・トルレス師が肥後国高瀬へ出発したこと、ならびにドゥアルテ・ダ・シルヴァ修道士の死去について
ルイス・フロイス師がジョアン・フェルナンデス修道士とともに度島に移った次第
コスメ・デ・トルレス師が口之津へ呼び戻された次第、ならびに島原で生じた他の苦難について
ベルショール・デ・フィゲイレド師とジョアン・カブラル師がインドから来た次第、ならびに一五六四年における彼らの航海中の苦難について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さり
6
フロイス視点で描かれている、フロイスが感じた出来事を直に感じられる。「有馬キリシタン王国記」別の本はキリシタンの弾圧が直に感じられ胸が痛くなる。仏教信仰だったからその人視点で見ると冒涜させられたと思うだろう。2023/08/18
godubdub
1
頭から読み始めて,ついに9巻。だんだん慣れてきた。五島列島や長崎近辺の布教活動と共に,戦乱も描かれる。長崎で守りを固めて,伊佐早の兄弟の軍勢に切り込んでいく老キリシタンの姿など,キリシタンの姿としては結構異色だなーと思うシーンもある。2016/04/16
冬至楼均
1
布教の妨害はすべて悪魔の仕業。なんて都合のいい解釈だろうか。2013/12/12
えんのしん
0
シャヴィエルと共に来日した最初の宣教師であるジョアン・フェルナンデスとコスメ・デ・トルレスの死が語られる巻だ。共に筆舌に尽くしがたい苦労をした人々である。トルレスの方針で海外から来た宣教師達も平素から日本語で話すように努めていたがそれを徹底していたのがフェルナンデス修道士だった。彼はインドから着いたばかりの新しい宣教師や商人達と話す時も日本語以外では答えようとも話そうともしなかった。一冊の文法書も教師もいない状態から独力で日本語を学んで聖書の日本語訳本などを書いた。彼の死を語る第19章は涙なしに読めない。2025/03/12