内容説明
キリシタン嫌いの夫人を離別し新夫人を娶って、フランシスコの教名で改宗した大友宗麟は、キリシタンの理想郷を目ざし日向に進出する。島津軍と合戦史上名高い耳川で戦い、敗れて豊後へ戻る…。フロイスはこのころ、豊後で布教に従事しており、その記述は詳細をきわめる。毎日出版文化賞、菊池寛賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タキタカンセイ
8
大友宗麟の改宗と豊後の落日が描かれた巻。キリスト教に終始好意的でありながら自分は異教徒であり続けた宗麟。彼は「二階崩れの乱」で父を「倒した」ことが良心の呵責として残っていたのではないか。キリスト教徒になった時、宗麟はそのことも懺悔したのかも知れない。宗麟の改宗にあわせるように彼の王国は崩壊へと向かっていく。ここらへんはシェイクスピアのようでもある。どこまでが「史実」なのかはわからないが目撃者としての「物語」は大変に面白い。自分のご先祖(と思われる方)も敵役として登場していてその最期に思わず合掌しました。2023/10/07
冬至楼均
1
宗麟って改宗してから落ち目になっている気がする。キリスト教が悪いというよりも、老いで判断力が鈍って宗教に嵌まってしまったというのが正しいのだろうけど。2013/12/10
godubdub
0
やや地味になってきた。フロイスの実体験に絡む部分だけに詳細になっているのだろうけれど,通しで読んでいると,このあたりが難所のような気がする。2016/03/13
もだんたいむす
0
2013.10.23 読了2013/10/23
えんのしん
0
巻頭でこの本の著者フロイスの日本上陸が書かれる。場所は長崎の横瀬浦港。出迎えたコスメ・デ・トルレスは待ち望んだ後継者が来てくれた感動で「私はもう死んでもいい」と語り滂沱の涙を流す。あの涙こそフロイスの35年の日本滞在の原動力、そして畢生の大作『日本史』の原動力になったのではなかろうかと思う。そのトルレス師の死は第9巻に書かれている。この中公文庫版では元々編年体だったフロイスの本をバラバラに編集し直してしまったので時間の流れも各篇でバラバラになってしまったのだ。2025/03/07




