内容説明
警察予備隊は、疑いもなく軍隊であったにもかかわらず、警察部隊のようにカモフラージュされた―。日本再軍備はどのように進んだか。それは決して平坦な道ではなかった。憲法九条と自衛権の問題、総司令部内の諸勢力の抗争、旧軍人グループの暗躍、そして冷戦の深化…。本書は予備隊創設の実務に携わった著者が、日本再軍備の動機、背後関係、そして経過を克明に書き綴った歴史の証言である。
目次
第1部 かくて再軍備は始まった―その動機と構想(天恵・朝鮮動乱;アメリカの油断;忍び足の再軍備 ほか)
第2部 私は日本を再武装した―自衛隊誕生の秘密(主導権抗争;指揮する米軍事顧問団;組織問題と文官優位 ほか)
第3部 育ちゆく再軍備―武装日本・これでよいか(日本再軍備の功罪;日本の将来について)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
12
警察予備隊創設の中心人物による回想記。予備隊創設当初は旧軍人の入隊を排除した事実は、恥ずかしながら本書を読むまで知らなかった。他にもG2のウィロビーと結んで再軍備の主導権を握ろうとする服部卓四郎ら旧軍人の暗躍や、吉田茂の思惑についてなど、興味深い事実が多く記されている。戦前日本に対して多少偏見めいた記述も見えるが、著者の経歴を考えれば許容の範囲内と言えるだろう。何より、憲法改正が現実的になってきた昨今、自衛隊と憲法という「ゆがみ」の構造を理解するためにも、是非一読して欲しい一冊と言える。2017/09/16
Tatsu
1
戦後日本において、自衛隊の前身の警察予備隊創立に関わった米陸軍将校の回想。戦車→特車などの軍事用語の言い換えや、警察予備隊の朝鮮戦争派遣に関するやり取りなどは興味深い。著者自身も、日本国憲法との矛盾を感じていたことが窺われる。2015/04/09