内容説明
元新聞記者の死後、公表された手記。そこには自らの苦渋の選択の過程が綴られていた。満州、サイパン、グアムと激戦地を転々とする日本陸軍の真実の姿を、冷静沈着なる視点から描いた詳細なる従軍の記録。自軍の総攻撃を目前にして、兵士はなぜ、捕虜となる途を選んだのか。
目次
第1章 満州
第2章 黒い海
第3章 サイパン
第4章 大宮島(グアム島)
第5章 青葉山
第6章 ハワイ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
16
◆著者は歩兵第18連隊の砲兵中隊指揮班所属の兵長。話は満州駐屯時点から1944年2月の第23師団のサイパン輸送、グアム移動、総攻撃前に自ら捕虜になり、ハワイ着まで。◆輸送船が撃沈されサイパン着までに多くの兵力と装備を失う、サイパン逆上陸のための移動で大発2隻が行方不明になる、陣地移転の繰り返しで装備も物資も散り散りになる、といった戦闘外での損耗や、グアム山中で同連隊の歩兵中隊が夜襲で消えていく様子など、非常に寂しい。◆人力での物資運搬、食糧のちょろまかしなど、補給のない野戦軍につきものの様子もやるせない。2019/03/09
CTC
8
著者逝去後、88年初版、99年中公文庫。現在は絶版。本書が特異なのは、著者は意識を失って俘虜になったのでも、組織的抵抗が止んだ後に投降したのでも、負傷や病や飢えといった絶体絶命の状況で捕まったのでもなく、自ら生きる為に進んで捕虜となった体験を記している事である。同盟通信社記者として従軍し、のち応召し満州、サイパン・グアムと転戦。殊輸送船内の描写や兵の日常、周囲との繋がりといった描写は精緻を極める。綺麗ごとでもステロタイプでもない、“生身の人間”の延長線に居る“兵隊”。しかし死者を想えば複雑な読後ではある。2016/03/09
くらーく
2
最前線の兵隊は大変な目にあっていますな。ちまたに流れる情報と現場の対比がひどくて。今も同じかもしれないね。当時と違って、状況は多視点でみられるから、ましにはなっているだろうけれど。 戦争を計画、承認した人の無能さにはあきれるよな。それを煽ったマスコミと一般人も。で、一般人の中から兵隊に呼ばれて、こんなひどい目に遭うと。2014/09/13
TEDDY曹長
2
敗色濃厚だったグアム防衛戦において玉砕せずに米軍に投稿した兵士の手記。僕は当時の戦陣訓は間違っていたと考えています。だから玉砕しなかったのもひとつの敵方への妨害工作であると思いますので、間違ってはいなかったと。これを読むと当時の日本軍が置かれた悲惨な状況がよく理解できますし、遺族の方から非難が出るだろう事を覚悟して出版された事も凄いなって素直に感じます2011/12/10
Yumikoit
0
ひたむきに目の前の仕事に取り組み続ける。最前線の緊張がないが、実質活きることに夢中だったことがわかる。そして投降。横田さんの選択にエールを送る。2015/01/14
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