出版社内容情報
床の落ち窪んだ部屋に閉じ込められている心美しく薄幸な「落窪の君」――。世界最古のひとつとされる継子いじめ物語が、みずみずしい感情描写で蘇る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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104
千年前の恋も、今の恋も同じことは、昔の和歌を詠んで痛いほどよくわかった。でも、まさか継母のいじめというものも、今と昔でまったく変わらないとは思ってもみなかった。『落窪物語』は、まさに継母の奸計にいじめられる落窪の君の物語なのである。床の落ち窪んだ部屋に住まわされ、古い着物を着て、継母から嫌がらせのように来る日も来る日も縫い物を作るように言いつけられます。そんな継母の言いつけにも素直に従う落窪の君は恨みごとひとつ言いません。日本のシンデレラストーリーは痛快で爽快な結末が待っているのですね。2014/08/18
てつのすけ
46
このような物語があるのを初めて知った。 女性向けの書物だったのだろうか? 主旨とは違うと思うが、感想としては、今とはくらべものにならないほど、家柄や男女の違いで生活が大きく異なっていたことが理解できた。2020/01/12
たまきら
37
おお~シンデレラだ、これ!世界最古の継子いじめ話とありますが、ホント昔から児童虐待は絶えないということなんですねえ…。女子は針仕事が上手なおっとり姫君で、悪意のかけらもないため西洋版シンデレラよりも王子様(どんどん出世するけれど最初は正確には少将)や召使ちゃんたちが大活躍!みんなが暗躍する中、姫はちくちく針仕事をしていておかしかったです。娘もはまりました。2024/01/31
みゆき
27
これは面白い!古典をマンガ化したシリーズ。図書館の返却棚で見つけた。日本版シンデレラストーリーだが、本家より味わい深いお話。姫君を超越する阿漕の存在感。Good job!和歌の解説もあり、古典の入門書に最適。原作も読んでみたくなった。巻末の参考文献14冊に著者の本気が伺える。作者不詳ではあるが、花村氏が仰せのとおり女性の作者に違いない。白馬に乗った王子様の存在を信じていたあの頃が懐かしい。2023/10/21
べる
23
一夫多妻制であり、婿の面倒を見る妻の両親が揃っていることが肝心な時代でありながら、一途に想い合う中将の君と落窪の君に涙がこぼれた。下級侍女の仕事である縫物を継母にやらされていた落窪は自分に自信がなかっただろうから、中将の愛情を受けることに幸せと不安が入り交じっていたと思う。継子いじめ物語には必ず主人公を助ける人物が登場するが、阿漕や三郎くんらがいたことが落窪の強さだったと思う。結婚の日取りは陰陽道で決められ、5月、7月、11月は忌月として避けた。人前で烏帽子を取り、頭髪をさらすことは非常に恥ずかしいこと。2021/05/23