内容説明
国姓爺鄭成功、幼名福松は、東アジアの海の実力者を父として、日本人田川氏の娘を母として、平戸に生まれた。七歳のとき福建泉州へと渡り、父のもとで成長、やがて南京の太学に学ぶ。折りしも李自成軍に首都北京を占領された明朝は滅亡、山海関を越えた満洲鉄騎軍は中国大陸制圧に向けて怒涛の南進を開始した。唐王隆武帝を奉じ、父とともに反清勢力を率いることになった若き英雄の運命は。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
糜竺(びじく)
26
読み応えがあります。直木賞作家の陳舜臣氏の「風よ雲よ」の続編の小説で、1600年代前半の中国が舞台です。主人公は、父が福建の海の実力者鄭芝竜で、母は日本人で、長崎で生まれた鄭成功です。漢民族の王朝(明朝)は弱体化し、どんどんと北から満州族の侵攻を許している状態です。それを水軍の若き英雄である鄭成功が、必死に食い止めようと戦っていく様が描かれています。それにしても、残念なのは、明朝内部は派閥争いやら内輪揉めで全然まとまらず、そこを満州族に突かれている感じで情けなく、鄭成功も気の毒です。続きが気になります。2014/01/25
サチオ
11
異民族国家・清の侵略を受けて揺らぐ明を目の当たりにして、一族の勢力を引き継ぐために知略を振り絞る鄭成功。何に重きを置くのか、それぞれが試され保身、裏切りが多発する転換期の渦中はまさに激動の時代。私自身余り予備知識が無いため先が見えませんが、歴史は清の支配に向かう中で彼がどう旗をかかげるのか、下巻も楽しみです。2017/01/15
まさげ
10
舞台が長崎、平戸、福建省泉州と舞台が移り変わるところ、明と清の対比、今後の展開が楽しみですヽ(^。^)ノ2019/07/29
NyanNyanShinji
2
小説として読み進めていますが,感想は下巻を読んでからですね。2021/06/12
熱東風(あちこち)
2
面白かった。白石一郎『怒濤のごとく』が、中々鄭成功が活躍せずに少し焦らされた感があったのに対し、こちらはちゃんと主人公らしく活躍している。登場人物も多くて混乱するかと思ったが、それもなく、読みやすかった。ただ、地図を載せてくれているのはいいのだが、もう少し広範囲なのも欲しかった。広州より西側がバッサリ割愛されているのはどうかと思う。/下巻へ。2017/02/27