内容説明
1884年、上海で創刊された絵入新聞『点石斎画報』は、大衆への報道・娯楽紙として、飛ぶように売れたと当時の記録は語る。終刊まで十四年にわたって描かれた四千数百点にのぼる絵と、そこに付された文とは、初めて西洋近代文明に触れた清朝末期の中国人の奔放な想像力が生んだ、驚異と興奮と誤解の渦巻く「世界図鑑」である。百年前、彼らは何を幻視したのか?美術史、文学史、科学史、社会風俗史…あらゆる角度からの発掘を待っている宝の山、「『点石斎画報』学」への扉が、いま開かれる。
目次
ゾウを想え―清末人の「世界図鑑」を読むために
第1章 洞窟をくぐり抜けたら世紀末
第2章 彼方の国と人びとの風景
第3章 檻のない動物園
第4章 異形のものたちの行進
第5章 科学と機械の幻想譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
30
同じ「点石斎画報」から清朝末の風俗を紹介した本を続けて読んだ。本書では動物や怪物についての記事も紹介されているが、海外の風俗を紹介した記事が多く、もちろん当時の中国の人々はそうしたニュースに興味津々だったのだろうけれども、私としては彼の地の出来事の方をもっと読みたかった。しかし、資料のないところで勝手に海外の事案を想像して絵にした記事はなかなかシュールであった。2024/04/02
shamrock
12
楽しい読書だった。楽しいだけでなく、人の想像力の豊かなことを実感。2018/05/24
いちはじめ
2
中国文学研究における澁澤龍彦的な中野美代子とその弟子筋の武田雅哉の共著。絵入新聞『点石斎画報』を面白おかしく紹介。図版も豊富1999/03/27
ks3265
1
『点石斎画報』の解説本。以前読んだ『中国妖怪・鬼神図譜』がこの本から抜粋で紹介されていたので、気になっていて読んだ。画報はその名の通り、旬刊の絵入り新聞で人気が出て、類似の画報が発行された。メインのニュースは時事ネタで、妖怪などは2割にも満たなかったのは意外だった。武田先生が博論で取り組んだだけあって、内容も十分に紹介されていた。解説が逐語訳ではなく、意訳であったのでとても面白かった。清末の世相がよくわかるので、おすすめ本ですよ。2017/05/15