内容説明
狎れあいの文学賞選考会に辟易し、究極の実験小説を執筆して胃に穴をあけ、大学の醜怪なる実態を暴き出す壮絶な日々。独自の文学観を貫き世の良識の転覆を企んだ作家の、断筆宣言直後に結実したエッセイ集。
目次
異端の排除は個性の排除
これこそ小説、これこそ作家
裏人生の達人
唯野教授の弁
気になる女流文学の町
テクノストレス解消法
永遠のベティ・ブープ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
12
『パプリカ』などに続いて未読の筒井本。親本は95年。出色の情報あり。色川武大の追悼文に、全作品を読破している作家は5人とある。色川、井上ひさし、大江健三郎、長部日出雄、小林信彦(138頁)。あと195-212頁に読書遍歴の告白。1934年生まれの筒井は学童疎開下の活字ひでりに苦しんだが、幸いにして父親が蔵書ぐるみ疎開先に移り住み、運びきれない蔵書も母方の伯父の会社の倉庫にあって戦災を免れた。新刊書籍は出ないので中学生筒井はこの蔵書のうち昭和初年の新潮社世界文学全集ばかり読んでいたのである。可哀想!2020/09/21
ぽち
12
この本はたぶん10年くらい積読していたものなのだけどなぜか手近に置かれていたものを最近読み始めたら存外おもしろかった。どうおもしろかったのかとかどういう内容であったかのかとかはあんまり書く必要もないと思うのだけれど(とわざわざ書くのはこの拙文を世界中でわずか数人であろうとも読んでしまうひとがいない訳ではないと思うからなのだけれど)ひとつ書いておきたいと思ったことは、本は購入して手元においておくと、10年後に読むことになることも、実際ある、ということです。2015/11/07
tama
6
図書館本 いろんなところに書いたものの転載。一番新しくても'93年9月と断筆宣言前後のもの。出版は宣言の二年後だがこの本では断筆に関わることは一切出てこない。出版社の「自主規制」かと。「コッカにカッコよさはいらない」「異端の排除は個性の排除」は今読むべき文章でしょう。でもやっぱり「オレ」が出てこその筒井作品と思う。2014/07/07
ゆきのすけ
6
書きものする人は読むのも好きなんだな。ほんっとまだまだ私の読書なんて足下にも及びません。好きと言わせて頂くのも恐れ多くなって来ました。笑 もはや尊敬です。これから『仕事がらみの本を除いた〜』に出て来る本読んで行きたい。『ワープロについて』を読んで、こんな変換方法なんだと笑いながらビックリ。地名とか人名がまっさきに出て来てどう活用しろと?w確かにたたき壊したくなるかもしれない。『将軍が〜』のモデルは葦原将軍のことだったと知れたのが良い収穫。宮本輝が出て来たり、この本の中のエッセンスはどれも興味深い。2010/06/17
山田太郎
3
島田雅彦が読みたくなった、なぜか。2009/01/29
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- 和書
- 秦漢瓦当文