内容説明
土地を譲り生きがいを失った父との対立が深まるなか、封印を解かれた父娘の衝撃の過去。次第に精神の均衡を失っていく罪深き暴君に、勇気ある闘いを挑む姉妹の未来は…。伝統的なアメリカの家庭の崩壊の果てに、新しい女性像を描く大河巨篇。ピューリッツァー文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
287
上巻の終りの方ではまださざ波のようであったものが、下巻に入るとしだいにうねりを増し、やがて嵐に押し流されるような結末を迎える。それはまさに嵐の去った後のような静けさのうちに幕を閉じるのだが、我々読者はただ呆然とするのみであり、寂寥感と果たされなかった希望をそこに見るのである。三姉妹と父親との確執と葛藤を軸にしながらも、本書の主人公はやはり表題通りにアイオワの大農場そのものではないだろうか。読者はあたかも別の人生を生きたかのような読了感に包まれる。そして、それは誰にとってもあり得たかもしれない人生なのだ。2017/06/09
遥かなる想い
181
アメリカ版『リア王』と言われたこの本。 大農場を三人の娘に分割して譲ろうとした 時から悲劇が始まる。ジニー視点のこの本、 父とキャロラインの立ち位置よりも ローズとの 確執が目立つが このあたり 著者の意図通り なのだろうか..やがて明らかになる父との秘密.. だが読みながらかすかに感じる違和感のような ものは何なのか..農場以外に受け継いだ遺産は何だったのか..家族のあり方を題材にしなやかに 描き..最後は穏やかな終わり方で 大河的な物語の良さを感じていた。2016/02/14
ケイ
112
敢えて感想は書きたくない。どう書いてもネタバレになるし、批判的なことしか書けない。一つだけ書き留めておきたいのは、これは全くリア王なんかではないということ。長女の苦悩ばかりが際立って私には見える。読後の気分がとても悪くて、何か美しいものを読んだり見たりしたいなと思う。2016/10/05
慧の本箱
2
大きな時代の流れの中 其々の思惑は家族ゆえに ややこしい2005/10/27