内容説明
アイオワの肥沃な大地に果てしなく広がる大農場。絶対的な支配力をもってこの「王国」に君臨する大地主が、三人の娘たちに土地を分け与えようとしたことから、父娘の悲劇が始まる―現代アメリカ文学界随一のストーリーテラーが贈る「現代のリア王」。ピューリッツァー文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
288
物語の舞台はアイオワ州。ゼブロン郡は架空のカウンティだが、アイオワの典型的な農村なのだろう。湿地を開墾し、周縁の農地を手に入れ、今では3代で築いてきた1000エーカーの農地を有するラリー。ある意味ではアメリカ感に溢れる小説だ。ただし、ここにあるのは中西部のホワイト・アメリカなのだが。3人姉妹の隠された確執と父親とのそれがBook 3の、それも末尾にいたって一気に噴出してくる。下巻は怒涛の展開なのだろうか。本書は「現代のリア王」と称されるようだが、果たしてそのような展開になるのだろうか。期待を高めて下巻へ。2017/06/08
遥かなる想い
208
ひどくアメリカ的な、映画的な物語である。地平線に広がる大地がもたらす自然の雄大さが懐かしく感じるのは何故なのだろう。三人の娘たちの土地をめぐる争い..ジニー、ローズ、キャロライン..上巻は三姉妹の人物像をジニー視線で丹念に描く。アメリカにおける父親像が少し伺えて面白いが..急展開は下巻に期待。2016/02/13
ケイ
119
アメリカの広大な農場と父と三姉妹の話。『風と共に去りぬ』と『若草物語』の系譜かと思いきや…、前知識なしに読んだので驚く。なるほど、現代のリア王なのか。農場にかかわる姉2人に対し、家を出て独立する妹。父は財産を残すのは家に残った方とするが…。財産を残すとはどういうことか、財産は親のものであり、子供は相続する権利を当然と思うことはおかしいのかもしれない、さらに相続する義務はあるのか…と、作品の趣旨はそこではないと思うが、色々と考えた。ストーリーは不穏だ。感想は下巻に。2016/10/05
Nami
8
【ガーディアン必読1000冊】面白かった。親子兄弟にしろ夫婦にしろ、相手を自分の思惑通りに動かそうとするほど、お互いの関係性は歪んでいく気がします。また、家族という近い存在が自分に及ぼす影響がいかに大きいか。その存在がとんでもないものだったら...。2015/09/06
慧の本箱
1
あなたは なにを守ろうとしていたの?2005/10/27