内容説明
霊能者の祖母が遺した予言通りに、インドから来た青年「ハチ」と巡り会った私は、彼の「最後の恋人」になった…。運命に導かれて出会い、別れの予感の中で過ごす二人だけの時間―求め合う魂の邂逅を描く愛の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
172
定期的に栄養ドリンクを服用するかのように手に取るばななさんの作品です。もうタイトルからすでにばななさんカラー丸出しでニヤリとしてしまいます。他の作品のレビューにも書いていますが、とにかくいつもどおりなんてことない至ってフツーな日常の風景をこんなにも絵本のように抒情的に変化させてしまうのはある意味、圧巻です。エロさがものすごくピュアな純愛にみえてしまうのもばななさんならではの手法です。繰り返しますが書いてあることは本当になんでもない平凡なコトなんです。でも、やっぱりばななさんはそれを物語にしてしまうんです。2016/07/29
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
170
もはやタイトルからして終わりが見据えられて悲しい。どんな関係性であっても、いずれその関係に終わりは来るというのに、しっかりした枠に安心して、つい隣にいる一番大切なひとの大切さ、ただ一緒にいれるということがどれだけ尊いかを忘れてしまう。いつがその人との最後の瞬間かも知れないのに。 ハチと私は最後の瞬間が初めからわかっているからこそその尊さを噛みしめて過ごすことができたんだろうな。話自体は宗教的な印象が強くて苦手な部分もあったけど、はっとする大切な言葉たちが一面に散りばめられていて、心を真っさらにしてくれる。2018/09/16
HIRO1970
153
⭐️⭐️⭐️⭐️よしもとさんが漢字だった頃の20年程前の本著。ばななさん通算10冊目。たまにはピチピチの若いばななさんもイイですね。恋愛ものですが、薄い本なのでサラッと読めます。若者の精神的な内面の変化を多彩な比喩で無理なく上手に書きあらわすチカラには脱帽です。ばななさんの著書はストレス無く安心して読めるので、毎回かなり癒されます。2016/07/06
ヴェネツィア
136
登場人物たちの実態感はいくぶん薄いのだけれど、それだけ時間と空間とを飛び越えたような感覚の物語。出会いには、必ず別れがつきまとうのだが、それでも、その哀しみを許容しながら連れ添っていく。そうして行くしかないのだから。そして、それでいてなお、生きていくことには悲哀が伴う。物語の終局で「私」は「親しかったみんなに誠実に別れを告げて、ちょうどよい夏のある日に、私は逝きたい」と語るが、1000年も前に西行はこう詠んだ。「願わくは花の下にて春死なんその如月の望月のころ」。小説は、「ロマンティック」そのものであった。2012/07/10
のんき
95
マオちゃんとハチ。別れたくないけど、別れなければならないなんて。切ないです。わたしも、いつか相手と別れなければならないとしたら、一緒にいる時間を少しでも長くしたいし、一緒の思い出をたくさん作りたいと思います。そのときまで、一緒にいてくれる相手を大事にしたいです。でも、やっぱりいざ別れるとなったら、いっぱい泣くだろうし、悲しいな。いい思い出がたくさんあれば、生きていけると思いたいです2019/04/04
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- 和書
- 闇の獄 〈上〉 中公文庫