内容説明
魯山人の天分は、まず書と篆刻において開花した。多年にわたる習書によって身につけた高度な表現技術と鋭敏な美意識は、彼の旺盛な芸術活動を貫く根幹をなした。古今の書家の名品を俎上にのせ、独立不羈の個性が縦横に展開する書道芸術論。
目次
書論(習書要訣―美の認識について;書道習学の道;鑑賞力なくして習字する勿れ;書道を誤らせる書道奨励会;美術芸術としての生命の書道 ほか)
人と書相(人と書相;南浦紹明墨蹟;牧渓の書の妙諦;遠州の墨蹟;春屋の書について ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
18
魯山人芸術の原点ともいえる「書」について各論・概論併せて収録した一冊。画家のルオーはある婦人が自分の絵の真似をして黒い太い線を引いたとき「この線を引けるようになるまでには30年間の苦労がいります」と言ったというが、書というものもたかが線、されど線で構成されている奥深い芸術である。「優れた美術や芸術はみな人の真心が基調となっている」「上手でもいけないし、下手でもいけない。かといって中途半端でもいけない」と魯山人は言い、いい書を書くためには小手先の技術を身に着けるのでなく、畢竟人格を作ることだと繰り返す。2019/10/16
とす
0
難しい本かなと思って読み始めたがそうでもなかった。魯山人の書に関する講演をまとめたもの。これを読んでも良寛の書がいいらしいぞ、ということしかわからなかったが、書の見方が少しわかった。そして魯山人のことがもっと気になってきた。確かに陶器や料理こそが魯山人っぽいと思うが、自分は以前から魯山人には書もあるよなと思っていたので驚きは感じなかった。2016/12/24
ヨウジン
0
書の形式美というものは練習すればどうにかなるものだが、書の真の価値とは込められた精神であると魯山人は繰り返し述べています。人間の気質は書に限らず、書かれた字に現れるものという話には賛同できた。2012/05/29
Gin
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目から鱗ポロポロ2011/02/04