内容説明
鉄剣を磨き、馬を養って時に耐える大海人皇子はついに立った。東国から怒涛のような大軍が原野を埋めて近江の都に迫り、各地で朝廷軍との戦いがはじまる。激動の大乱のなかの息詰まる人間ドラマの数々。歴史学をふまえて錯綜する時代の動きをダイナミックにとらえた長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あーさん☆GWは墓参りをハシゴしました。暑くてバテました。
62
大海人皇子がついに立ち上がる。壬申の乱。2018/11/06
NAO
54
吉野、熊野から岐阜辺りにまで味方を増やしていった大海人皇子の先見の明。この辺りは古代から本当によく歴史に登場する場所で、ここを制するかどうかが歴史上常に重要なポイントだったようだ。賊軍である叔父に負けたことがどうしても理解できない大友皇子に対して「新天皇(大友皇子)は近江の都の天皇であったかもしれないが倭国の天皇ではなかったのだ」という解釈をしているところが興味深かった。父から譲り受けた狭い世界に満足していた大友皇子ともっと広い世界にまで勢力を伸ばしていった大海人皇子の差は、あまりにも大きい。2017/05/08
ブラックジャケット
14
中臣鎌足も天智天皇も舞台から退場する。大友皇子は百済の旧臣の入れ知恵で文治派、母親が采女であることもマイナス要因となる。大海人は天智天皇の嫌疑をくぐり抜け、出家して都落ち。しかし真の天皇を目指し、舎人を親衛隊として各地に派遣、武備の充実、支持者を固めて万全の布石。見事横綱相撲で大友皇子を寄り切る。ともかく史料の少ない古代史、人名も地名も様々な解釈がある。その深い霧から天武天皇を現代に蘇らせた技は強弓そのもの。皇后讃良(後の持統天皇)や身辺の舎人たちも色鮮やかに描く。天下分け目の戦いとは血が騒ぐものだね。 2020/04/07
RASCAL
13
「壬申の乱」を描いた黒岩重吾さんの長編小説、上下巻で1300ページ、長かった。。。よくもまあ、ここまで詳しく書ききったものだと感心。吉野から伊賀、鈴鹿、伊勢、桑名、美濃、そして近江への進軍の記述は、土地勘がすごい。作者は、大海人皇子の気持ちになって道筋を行軍したのだろうか。2013/07/19
修一朗
8
古代では、倭言葉に漢字を当てているんだね。いわゆる音読みが少ない。読了までに、憶え切れなかった文字多数。さて問題。国宰頭と書いてなんと読む? 答えーくにのみこともちのかみー2013/10/25