内容説明
勢威並ぶものなき天下の覇王秀吉と、自在な境地を閑寂な茶事のなかに現出した美の創造者利休。愛憎相半ばする深い交わりの果てに宿命的破局を迎える峻烈な人間関係を、綿密重厚な筆で描き切る、絢爛たる巨篇。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジャンズ
5
野上弥栄子さんは初の作家です。私には少々難しい言い回しがありましたが美しい表現と文章をかみしめながら読了。後半は利休の想いに感情移入していく。秀吉のご機嫌の晴雨に疲れた利休にとっての茶とは自分と向き合うマインドコントロールのよう。秀吉のコンプレックス、感情のコントロールができないことそして利休への屈折した愛がこの悲劇を生んだよう。利休の木像と唐御陣を案じていることがきっかけに感情の制御ができなくなった。愛の反動がここまで凄まじいとは!このような人がどうして天下人になったのかが理解できない。2021/03/23
オサム
2
何より凄いのは、この終始充実して気合いの入った長編小説を書いたのは、77歳の老女だという事実だろう。2020/05/22
moonset
2
謎・・・利休が何故腹を切れと秀吉に命じられたのか、それは武の文の二人の天下人のみぞ知ることである。野上氏の作品はその謎に挑んだフィクションであり、架空の人物も登場するが、まさにそうであったかのような描写に感嘆した、愛と憎しみの物語。2013/06/25
Asako Onaya
2
歴史は苦手です。戦国武将にも興味は無いですが、茶の湯や利休に興味があって読んでみたかった本です。利休と秀吉の関係性や、茶の湯の奥深さを知ることができました。他にも、能や当時の衣食住や流行などの描写が丁寧で、面白かったです。 2013/02/11
タイガーとらじろう
1
今から約60年前に刊行された長編。この本を読んで改めて思うのは、秀吉はもう少しうまく立ち回れなかったのかな、というところ。身内に不幸が多過ぎたからそれは言っても詮無いかな。2024/03/01