内容説明
「あの蔵を全部、烈に下(くんな)せ」―打ち続く不幸に酒造りへの意欲も失った父意造に、烈は見えぬ目に必死の願いをこめて訴えた。女ながら蔵元を継いだ烈は、さらに蔵人・涼太への愛をまっしぐらに貫き、喜びの終末を迎える。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
29
絶大なる反響を呼んだ新聞小説であったようだが、読み終えて静かな感動にしたる。大正から昭和にかけての酒蔵の人たち。仕事と家業を引き継いでいくひたむきさ。盲目になりながら、落ち込まず人間としての生き方。自分の使命を知り、それに逆らわず生きていき人々。方言の読み辛さから手こずったが、作者付記にはホロっとさせられた。酒造りは越乃寒梅から教えを受けたとのこと。小布施のセーラー・カミングスを想いながら読み通した。2016/08/22
豆大福
9
再読。以前に読んだ時は、まだ、独身だったけど、結婚し子供が産まれた後に読むと違った視点で読めた。改めてこの作品の良さを感じた。2015/07/16
たつや
8
酒蔵の後継者問題と娘の失明問題と立ち向う意造と佐穂とせきの関係性にヤキモキする。そんな中、蔵の再開と恋に邁進する主人公烈に夢中になり、読み終えた途端に「えっ?終わり」と、放心した。今は余韻が続いている。間違いなく、名作でした。2025/04/10
しん君
8
本文最終頁になって「おーい!意造💢今かよ、そりゃないよ!」と佐穂に同情。そして作者付記で「てめぇだけ長生きしやがって💢最初っから佐穂と一緒になっていれば…」とツッコミたくなる。それくらい面白かった。下巻も不幸は続くが、酒造りと結婚を懇願する烈の成長が頼もしい。タイトルはこれしかない。新聞連載当時から大きな反響を呼んでいたことが頷ける大作。2023/07/21
こだま
6
目の見えない烈が家業の酒作りを継ぎたいと言い出してからの展開が怒涛過ぎて…。良い読書体験だった。2022/04/19