内容説明
本書は、陰謀うずまく宮廷、酒池肉林の饗宴、戦車競争と剣闘技試合、大火災といったネロの都ローマのお馴染みの大スペクタクルだけでなく、貧民街の袋小路に捨てられた赤ん坊の泣き声、その脇に置かれた屎尿であふれた汚物壷の発する悪臭、朝の商店が扉を開け商品を並べる音、居酒屋の棚に並ぶ野菜、獣肉、魚汁、ブドウ酒の、様々な音と色と匂いと味を、聞いたり、嗅いだり、味わったりしながら、神学や死生観のシニカルでユーモラスな形而上学的議論を楽しめる歴史小説である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ICH
1
長い長い物語です。古代のローマの普段の生活が、詳しく描写されています。ゴミ捨て場に放置された赤ん坊、公衆トイレでの議論、インスラの様子、居酒屋、見世物としての死刑。これまでに読んだ古代ローマものにはない、生々しい描写にくらくらしてしまいます。そして、延々と展開される登場人物たちの小難しい議論。読み終わるまで、上下巻あわせて2か月かかってしまうほどの分量なのですが、なぜか読んでいて退屈に感じることはありません。2014/05/08
ゆきえ
1
ネロが大好きで、ネロについて知りたくて読み始めた。上巻は退屈だと思った。それでも、古代ローマの風俗は詳しく描かれているのでそこは満足。下巻はネロがたくさん登場してくることもあるし、物語が強く動き出してくる感じがして、どんどん面白くなっていった。全体的にはかなり満足。2013/03/20
ホームズ
1
1998年7月2日初読