出版社内容情報
東京と大阪の戦争が始まった!! 戦闘機が飛び、重装備の地上部隊に市民兵がつづく。斬新な発想で現代を鋭く諷刺する処女作品集。〈解説〉大坪直行
内容説明
東京と大阪の戦争が始まった。自衛隊の戦闘機が飛び、地上部隊は重装備で進撃、市民兵もぞくぞく参加してテレビ中継車がつづく。斬新な発想で現代社会を鋭く諷刺する表題作ほかの秀抜な処女作品集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
84
筒井康隆は『時をかける少女』を読んだだけである。 この本、東京と大阪の戦争というSF娯楽小説だと思って読み始めた。 どうやら、私は筒井康隆をあまりに知らな過ぎたようだ。 その内容は鋭い社会風刺で溢れていた。 1976年の上梓であるが、未来の日本に対して強い警鐘を鳴らしているかのようだ。 40年後の今読んで背筋が凍りついた。2017/01/15
saga
38
【再読】同人誌NULL時代の筒井作品を、当時高校生だった時とは違う目線で読み進める。その頃、ショートショートSFを星新一作品とともによく読んだものだが、流行を意識することなく好んで読んでいた。『旅のラゴス』とは雰囲気の異なるエログロナンセンス。これが筒井なのだと、懐かしさがこみ上げてきた。東海道戦争や堕地獄仏法のような体制派を揶揄する筆致がドキドキするほど良い!2016/09/03
メタボン
35
☆☆☆★ 文章はこなれていないが、筒井ワールドの萌芽を感じる初期短編集。自動車に人格がある「お紺昇天」はせつない。東京と大阪の戦争描写が凄い「東海道戦争」。同じ時間が繰り返され人格が崩壊する「しゃっくり」。宗教による言論統制を批判的に描く「堕地獄仏法」。タイムマシンが失敗する毎におれが増える「チューリップ・チューリップ」。この世に私とコンピュータしか残っていない「いじめないで」。猫達と鰐の地下水路での戦い「群猫」。ロボットがうざい「うるさがた」。「理詰めのロボット記者にぶちぎれる「やぶれかぶれのオロ氏」。2020/03/31
tomi
30
元になった単行本の初版は昭和40年。東京と大阪の戦争が勃発する表題作など、痛烈な風刺とブラックユーモアに満ちた処女作品集。世界が突然10分のタイムループをし始め、人々が正気を失ってゆく「しゃっくり」、タイムマシンの不具合で自分が次々と増殖してゆく「チューリップ・チューリップ」など、今読んでも面白い。「やぶれかぶれのオロ氏」は連合国家の総裁が記者会見で偏向報道をさせないように記者団にロボットを指名したものの、ロボット記者の忖度ない質問に逆上して本音が剥き出しになるドタバタが痛烈。→2024/04/05
kinupon
27
切れ味鋭い短編集です。初期の作品の中でも上位にあげられるものですね。2011/10/21
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- 和書
- もはや僕は人間じゃない