内容説明
暗雲渦巻く応仁の乱前夜、欲望と怨念にもだえつつ、救済を求めて彷徨する人たち。足利将軍義政と妻富子を軸にこの世の正義とは何かを問う「花の館」、権勢に輝く信長に謀叛、一族殺戮の最中に一人生きのびる武将荒木村重の非劇を描く「鬼灯」。乱世の重荷を背負う人間像を鮮やかに刻む傑作司馬史劇二篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びす男
52
物語と登場人物の設定がしっかりしているので、戯曲も普通の小説と同じように楽しめる。正義の有りかを問う「花の館」、政治の業の深さを印象的に描いた「鬼灯」。どちらも見事に完成されてる。2016/04/05
優希
46
戯曲になります。モトとなった物語は面白いのかもしれませんが、戯曲だとハッキリ言いますが面白くないです。やっぱり司馬さんは小説が面白いと思います。2022/05/15
またべえ
17
「花の館」初演記録に、太地喜和子さんが嬉野を演じたとある。太地さんは、「男はつらいよ・寅次郎夕焼け小焼け」で「ぼたん」という名の芸者を演じている。エンディングでの寅さんとのやりとりがとってもいい。とっても魅力的だ。「花の館」の中で嬉野が(小首をかしげてやさしく)「何でも望みゃ!」と言う。このシーン、太地さんにしか出来ない!司馬遼太郎さんもそのつもりで書いたに違いない、と思うのであります。2020/12/16
時代
17
あらまあ。司馬さんの戯曲ですか。早い話が舞台(芝居)の台本ですね。一つ目は、応仁の乱に至る頃将軍の権力は衰退し京の町は荒廃しているが私欲を肥やし保身のみを考える足利義政と富子。世嗣ぎ争いの不条理を描く。二つ目は、信長に反旗を翻し城に立てこもる荒木村重。毛利の援軍が来るのだと一人思い込み誰の意見にも耳を傾けず常軌を逸してゆく。失礼ながら以外にもとても面白かったんですよ。はい◎2016/12/20
Junichi Wada
10
戯曲二編。1つは室町時代が舞台。日野富子と足利義政を中心に当時の悲壮に満ちた時代の中、義政により将軍職を譲るとされ山を降りてきた弟浄土寺と富子の政争を描く。2つめは荒木村重の半生。信長に反旗を翻し籠城するも命惜しいと自身だけ逃げ延びる。しかし、亡者を恐れ世捨て人となる。そこに秀吉登場村重を拾う。2019/09/10
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- 和書
- 高雅な折り紙