内容説明
『源氏物語』は何ゆえに世界に誇る傑作たり得ているのか、詳細な文体分析により、作者紫式部の比類ないストーリーテラー的才能と深い人間洞察力を逐一論証し、小説としての醍醐味を徹底的に語り尽くす。『源氏』解釈のための全く新しい、そして最高の指南書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
105
対談のお二人の知識量に圧倒されました、次々と目からうろこ、、わかりやすく、説明されていて、源氏を読む者にとても助かる本でした、この本を紹介してくださりありがとうございます。2019/11/01
syota
30
物語が佳境に入り、対談にも熱がこもる。「若菜」と並ぶ全編中の白眉である「浮舟」では、相手への遠慮は影を潜め各々の主張が正面からぶつかり合う白熱した議論が展開され、読む方も思わず緊張した。また、宇治十帖の主題や薫と匂宮の人物造形に関する大野氏の見解には教えられるところが多く、これらを念頭に折を見て宇治十帖を再読したいと思う。先々月に谷崎訳を読んだとき源氏物語らしい気品も優美さも感じなかった「竹河」について、お二人とも(これを含む匂宮三帖全体を)読まなくていいというご意見だったのには、思わずニヤリ。2020/08/07
野の花
21
国語学者と小説家兼評論家とが源氏物語について作品を引用しながら語り合うと言うものです。ちょっと厚い本ですが上巻がとても良かったので下巻も是非とも読んでみたくなりました。お二人の色々な説明で源氏物語の解釈が深まります。気付いていなかったことを気付かせてくれます。源氏物語を初めての読む人にもオススメです。2018/10/18
LUNE MER
16
瀬戸内寂聴さんのあとがきのラスト、「(源氏物語を)読んだ人には、これを読んで、いかに自分がこの名作をかいなでにしか読んでいなかったかを、肝に銘じてほしいものである。」が、心に突き刺さる。このような解説書を読まなければその面白さも十分に理解できないほど難解な書と化してしまった源氏物語。読み込めば読み込むほどに底無しに深いことはよぉぉく分かったが……Mais on a pas de temps...(しかし我々には時間がない)2020/01/14
ヒロミ
12
しみじみ読了。下巻は「若菜」から「夢浮橋」まで一気に駆け抜ける。正直言うとこの先生方の女性観にはいかんせん納得いかない点も多く、女性としては賛同できかねる読み方も多々ある。でも老紳士ふたりにそこまで求めるのは酷だと思い、自分の感情にフタをして読んだ。丸谷氏の訳はあんまり好みではない。「あたし」って表現が苦手。私が源氏物語で特に好きな巻は「賢木」「夕霧」「御法」「浮舟」「手習」です。解説の寂聴さんはちょっと品がない。2015/01/08