内容説明
『源氏物語』は何ゆえに世界に誇る傑作たり得ているのか、詳細な文体分析により、作者紫式部の比類ないストーリーテラー的才能と深い人間洞察力を逐一論証し、小説としての醍醐味を徹底的に語り尽くす。『源氏』解釈のための全く新しい、そして最高の指南書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
106
対談のお二人の知識量に圧倒されました、次々と目からうろこ、、わかりやすく、説明されていて、源氏を読む者にとても助かる本でした、この本を紹介してくださりありがとうございます。2019/11/01
アルピニア
67
源氏物語をめぐる大野晋氏(国語学者)、丸谷才一氏(小説家、文芸評論家)の対談。若菜~夢浮橋 若菜と浮舟の部分は、特に興味深く読んだ。あとがきで瀬戸内寂聴さんがお書きになっているように、自分も一緒に参加して「そうそう」と相槌を打ったり、「え~そうかなぁ?」と口走ったり・・浮舟についての考察(なぜ入水したか)では、両者の意見が合わず、白熱。この件に関しては、私は大野説に賛成!お二人の源氏物語に寄せる熱意と鋭く細やかな解釈に驚きワクワクしながら、楽しく読了した。また、源氏物語を異なる訳で新たな視点で再読したい。2018/04/13
syota
32
物語が佳境に入り、対談にも熱がこもる。「若菜」と並ぶ全編中の白眉である「浮舟」では、相手への遠慮は影を潜め各々の主張が正面からぶつかり合う白熱した議論が展開され、読む方も思わず緊張した。また、宇治十帖の主題や薫と匂宮の人物造形に関する大野氏の見解には教えられるところが多く、これらを念頭に折を見て宇治十帖を再読したいと思う。先々月に谷崎訳を読んだとき源氏物語らしい気品も優美さも感じなかった「竹河」について、お二人とも(これを含む匂宮三帖全体を)読まなくていいというご意見だったのには、思わずニヤリ。2020/08/07
野の花
21
国語学者と小説家兼評論家とが源氏物語について作品を引用しながら語り合うと言うものです。ちょっと厚い本ですが上巻がとても良かったので下巻も是非とも読んでみたくなりました。お二人の色々な説明で源氏物語の解釈が深まります。気付いていなかったことを気付かせてくれます。源氏物語を初めての読む人にもオススメです。2018/10/18
しろうさぎ
17
下巻は『若菜』以降。『若菜』『浮舟』は絶品とほめそやされ、代わりに「読まなくていい」「他人の作だ」と切り捨てられる巻もある。若い頃「なんか辛気臭い話」と思った宇治十帖が、原文の言葉遣いや他の文学作品との比較などを通じて、男女の仲の根本的すれ違いと女性を取り巻く社会規範に絶望した紫式部が、自分の考えを表現した作品と論じられ腑に落ちた。自分が歳を取ったせいもある。ただ式部の人生も物語の世界も、解決のないままフェードアウトしたとする結論が切ない。2024/05/06
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