内容説明
信長、秀吉、家康の三巨人をはじめ、別所長治、黒田官兵衛など歴史を彩る人間像をあざやかに浮彫りにし、著者有縁の人々や身辺の事象を愛情をこめて綴る。日本を動かし、時代を支える人間の姿を活写しつつ、自在な発想で現代を考える司馬文学の奥行きを堪能させるエッセイ。
目次
歴史の世界から
人と軌跡
願望の風景
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
31
司馬さんの歴史や人物、雑感をつづったエッセイです。膨大な知識に基づく幅広い視点は読む度に新たなことに気づかさせてもらえます。「別所家籠城の狂気」「江戸遷都秘話」「海音寺潮五郎氏のこと」「安藤昌益雑感」「鹿児島再訪」が良かったです。2025/02/22
James Hayashi
27
著者のエッセイ。歴史読本に載せられたものは面白く興味深く読み通した。単に歴史を書いているのでなく、超一流の脚本家か芸術家と感じるような内容。歴史に光と陰を与え鳥瞰図を3Dで見ている感じ。しかしその他はイマイチ。メリハリがあった。2016/10/18
B-Beat
20
☆あとがきに1980年11月9日と。1980年はと言えばモスクワオリンピックが日本アメリカなどの西側諸国がボイコットする中で開催された年。いわば東西の冷戦の真っ最中。この時から10年足らずでソ連邦の崩壊や冷戦が終結すると誰が予想していたであろうか。そんな時勢にあたかもロシアという国が現存しているかのようにこの国は独裁政治が似合いで多頭政治では国は持つまいなどと記す。中国が閣僚の靖国神社参拝を激しく批判することに対しての捉え方など現在の日本人に対する警鐘となる記述も多い。著者の慧眼に驚くばかり。2013/10/20
tonpie
18
荻生徂徠は、「人生最大の楽しみとは、豆を噛んで古今の英雄を罵倒することだ」と言いましたが、とにかく、信長、秀吉、家康の比較論ほど面白いものはない。というのは、この本52頁からの引用ですが、まるで落語のマクラです。司馬遼太郎の描き出す歴史的人物像は、その的確なエピソードの選び方、状況説明や人の性格を読む丁寧さ、そして豊かで想像力を刺激する比喩によって、読者に例えようもない大いなる喜び、満足感を与えてくれます。 ↓2021/01/31
aponchan
18
司馬遼太郎氏作品乱読中の一冊。中には、氏の作品で過去に読んだ事のある内容も含まれているが、それはそれで、頭の中で整理されることもあり、有意だと思えた。この短編集は、特に、氏の思いが良く見える内容だと思う。それだけに人間臭く、面白かった。2019/11/21