内容説明
意識を取り戻すと殺人事件の容疑者に仕立てられていた―。「東方文明研究所」東京支部に勤務する程紀銘は、逃避行を続けながら、3人の同僚とともに仕掛けられた罠の背後に潜む人物を追う。連続殺人、書画骨董の贋造、中日戦争勃発当時の愛憎の人間関係。謎は謎へと連なり合って、事件は思いがけぬ方向へと展開する。傑作長篇推理。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪の行者山@加療リハビリ中
5
陳舜臣の推理小説。1972~73にかけて連載。陶展文より好きかも。やっぱり歴史がかかわるほうが陳先生の本領が発揮される気がする。ただ、幾人かの登場人物の立場が、怪しいからしっかり描けないのか、怪しく見せたいがためにしっかり描写しないのか。最後まで気をもまされた。でそれは成功していないような気がする。ある意味、アメリカ物のドラマや映画の影響がありすぎるんじゃなかろうか。2017/11/03
Tanaka9999
4
推理長編。1976年の講談社のソフトカバー版で読む。古い本だけね字が小さい。結構長い間かけて読んだのだが、途中でタイトルを忘れていた。が、読み終えて改めてタイトルをみて、「なるほど」と。中国人2名と日本人2名の学者が中心となり推理を行う。主人公中国人を含む登場人物の「背景」がだんだんと分かってくる。このだんだんわかって来るのがなかなかの快感。2020/05/12
pittin
1
説明や繰り返しが重複する箇所が散見され単調な読み味。登場人物が多いが、各挿話における謎の提示と伏線の回収が、もつれることなく処理されている。骨董、古美術の価値や扱いを政治的、商業的側面から解説しているところは面白く読んだ。変装した人物が、別な人物として生きることにより別な視点、考え方をそれまで持っていた考え方に付加していく人物の造形の仕方に物語の推進を任せるとともに、人物の価値観も変わって行く過程を丹念に描いている。2024/08/18
kanamori
0
☆☆★2011/10/17
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- 和書
- 化学結合論 〈1〉