感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
49
1942年、外務省から文化使節としてフランス領インドシナに派遣された筆者が集めた民話や伝説。残酷で報われない話が多い。付された取材紀行が気だるくエキゾチックでうっとりする。森三千代その人や夫金子光晴との関係についてもっと知りたい。2018/07/25
hatohebi
5
作者は1942年に旧「仏印」(フランス領インドシナ)、現在のベトナム・カンボジアを旅行した。当時は日本軍が進駐していたが、外務省の文化使節という名目で軍のプロパガンダではなかったので行くのを勧めたと、金子光晴の回想にある。元本があるそうだが、本書では古の伝説をのびのびとリライトして、伝説中の人物像を生き生きと描いている。民族の英雄は晩節を汚さず天上に登って人々を守護し、現世で不幸に見舞われた貞女・義人も神仏の加護を得て転生する。安南人を「非現実的な夢想家」としているが、きっと作者も共鳴していたのだろう。2022/02/03
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