内容説明
全盛期の常勝将軍が凡庸な指揮官に敗れた原因は何か。世界史上最大の謎の一つ「モスクワ遠征」の全行程を軍事・作戦面と心理面から生き生きと再現する、臨場感あふれる壮大な歴史絵巻。
目次
第1章 モスクワ遠征はなぜ行なわれたか
第2章 出陣
第3章 スモレンスク
第4章 ボロジノ
第5章 モスクワ
第6章 撤退開始
第7章 ベレジナ渡河
第8章 敗走の果て
第9章 失敗の原因
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
May
1
一時期イギリスの国会議員をしていたこともある著者によるナポレオンのロシア遠征に関する著作。記録によれば1991年に続き2度目の読了らしい。コレンクールのロシア遠征記は、フランス軍中枢にあっての貴重な証言ではあるが、外から見たそれがどのようなものであったかについてはこちらを読む必要はあろう。特に、コレンクールがナポレオンとともにパリへ向かってから後のことは、こちらを読まねば分からない。コレンクールの著作と併せ読むべきだろう。2001/07/01
BIN
1
ナポレオンのロシア遠征について解説したもので、別に新しい情報があるわけではないらしい。気候とロシア側の焦土作戦により苦しめられるフランス軍の悲惨さが窺えられる。なぜ冬が近づく季節に行ったのか・・・気候なめすぎだろう(常識的に考えて体験しないとわからないだろうけど)。皇帝となり絶頂のときにあるから自分を過信し、ロシアをよく知るコーランクールの忠告を無視して失敗しており、英雄ナポレオンが全く見られないので、読むのがしんどかった。2015/03/06
wei xian tiang
1
まず兵站の失敗に始まる。そこに続く,「敵さん給与」をあてにした進撃,徴発,撤退,弾薬欠乏,敗残行,略奪,渡河や湿地の苦難,飢餓,落伍兵,ゲリラ(コサック)の襲撃,餓死,果ては人肉食まで,全てここ数年読んできたインパールや比島,ニューギニアの敗兵記の記述と二重写しになる。違うのは酷寒と凍傷を熱帯の瘴癘に読み替えるところ,高級指揮官が先頭に立つ所,兵力を逐次投入ではなく集中して一点突破の傾向があるところ。住民が仏捕虜を嬲り殺すリンチの描写が凄まじい。通りかかった露軍士官に,自ら射殺を懇願したというほど。2013/11/11
俊太郎
0
ナポレオンについてはほとんど知らないので、出てくる何々元帥とか何々将軍と言われても全くわからない上に、その人物についての解説もほとんどこの作中には無いのだけれど、それでも面白いし格好いいのだからナポレオンはズルいし、そもそも戦史というジャンルがズルい。2017/08/09
デンプシー
0
ナポレオンの敗走記。戦記は 勝たないと思っていたが、そうでもない。傲慢?からくるナポレオンの判断ミスで戦況が徐々に悪くなるプロセスが興味深く先が気になって仕方なかった。また、ローマ時代の軍と19世紀の軍が基本的にはあまり違わないことにも驚いた。2017/02/13
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