内容説明
幕末維新の時、16歳で藩の歩兵隊長をつとめた“紀州藩の神童”―岡本柳之助。明治新政府の軍人となった彼は、天賊の軍才を縦横に発揮するも、西南戦争後の竹橋事件に座し、無位無官の身となり、やがて大陸浪人として東洋の舞台へ雄飛する…。新政府を震撼させた竹橋事件、閔妃事件など、明治史の暗部に深く関わった著者が、長年の沈黙を破り、初めて数奇な生涯を語る。
目次
思い出づる人々(鳥尾小弥太と西南役の回顧;征討第1日の不始末;伊勢松坂の人材、世古延世;薩摩武士の典型永山弥一郎;岩倉右大臣が喰違いに要撃されし当夜;田原坂抜刀隊の勇士多田弥吉;桂太郎とともに任官されし当時;屏風の裡に泰然たる軍将 ほか)
日本陸軍の三恩人(近衛兵対陸軍省の軋轢;紀州家と陸奥宗光の関係;悼わしき老女田川の生涯;散らしがきの嘆願書;徴兵令の布告と兵賦略則;三条、岩倉両公の苦衷;労しき和宮の御覚悟 ほか)
附録 東光先生の面影
遺骨を迎うるの記
感想・レビュー
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駄目男
2
明治45年刊行の本だけあってさすがに読み辛い。 著者の岡本柳之助とは明治11年の竹橋事件や同28年の閔妃暗殺事件クーデターの首謀者として名高いが、本人はそのあたりついてはあまり語っていなかった。 紀州の人で陸奥宗光の後輩になり60歳で上海で客死。 復刻本好きな私が古本屋で目に留めた一冊だったがやや難しかった。2015/10/01
千本通り
1
岡本柳之助はほとんど忘れられた存在だが、幕末から明治末年まで活躍した。西南戦争あたりまでの「思い出づる人々」は本人の独白でもあり面白かったが、「東光先生の面影」は全て伝聞だし、閔妃事件も詳しくは触れておらず残念。2021/07/16