内容説明
太平洋戦争中に起きた、救いのない比島戦線での部下の残虐行為の責を負って、処刑された山下奉文、本間雅晴。軍の専横に離反・反目していったフィリピンの人びとに知的理解と友情をもちつづけた著者の、作家の眼がとらえた非運の二将軍の実像。
目次
女隊長
山下奉文の悲劇
本間雅晴中将と夫人
試煉―運命の人ロハス大統領
ジョン・ガンサーの内幕
ジョン万次郎異聞
感想・レビュー
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Ted
3
'88年9月刊(底本'52年6月)○報道班員として徴用され、大東亜戦争末期のフィリピンに派遣された一軍属の手記。大戦時の在外邦人死者数がフィリピンだけ異常に多い理由、開放的に見えて意外に反日的な人たちの多い理由が分った。当然の帰結と言ってしまえばそれまでだが、植民地経営のコツを心得ている欧米に比べると日本は経験もノウハウもなく拙劣の感を免れない。結果としてパラオや台湾などを除き反日感情の芽を植え付けただけで終った。「バカヤロー」という単語が未だに広く流通しているのはその残滓。そもそも民族的に向いていない。2020/08/12