内容説明
傲れる軍隊が中国大陸に果てしなく戦線を拡大し、アメリカ、イギリスと戦って破滅への道を突き進んだ日本。その敗因を元陸軍将官が究明する。本書は敗戦の年に書かれ、著者が東京裁判の証人席に立つ誘因となった問題の書である。
目次
第1篇 戦争勃発の前夜(建国2600年式典;閻錫山氏を通ずる工作;陸軍部内の暗流;北部仏印独断越境問題;大政翼賛会;小林商相事件;南部仏印進駐;アメリカ民間に対する借款交渉)
第2篇 戦争勃発とその後の1年(東条内閣の成立;大東亜戦争の勃発;ナチス的推薦選挙;惨憺たるミッドウェーの敗北;ガダルカナルの惨敗;紛糾せる大東亜省問題)
第3篇 敗因(無為有害の重臣;政治家の堕落;軍首脳部の軍閥化;軍隊の腐敗;三国同盟の成立;日中戦争解決の遷延;陸海軍の確執;科学の欠乏;観念右翼の跋扈)
第4篇 後日物語(小磯内閣の登場;粛軍遂に成らず;軍政また逐に布かれず;明日の日本)
感想・レビュー
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itosan04
4
アメリカのギャングもの傑作”good fellas”を髣髴とさせる読後感。インナーサークルの要路にいた人間だけが証言できるライブ感と生々しさが際立つ。ただしこの物語はアルカポネじゃなく昭和陸軍というところが何というのか。太平洋戦争好きの自分としては喫茶店コーヒー一杯で最後まで一気読み。平和な時代に生まれて本当によかった。2016/04/03
ide
0
終戦からわずか一ヶ月で書きあげたとはすごい。辛辣な内容は日本人には受け入れにくい点も多いが、御本人は信念に基づいて書き、東京裁判に臨まれたことだろう。遠慮会釈ない人物評を書くからには確信と覚悟があったと思う。立派。2015/07/28