内容説明
広島での被爆、迷いと苦闘、仏教画への第一歩とシルクロードへのはるかな旅立ち、自らの半生の軌跡をたどりながら、「仏教伝来」以来の壮大な画業の内面のドラマをしるす感動の自伝。
目次
第1章 ヒロシマの熱い日(34年目の「広島原爆図」;“永遠なるもの”を教えた父;シルクロードとの出会い;昭和20年8月6日のその日;死線を乗り越えて)
第2章 迷いと求法と(画家の道を志す;妻と義父に支えられて;「原爆症」と闘い続ける)
第3章 有縁の人びと(衝撃だった友人の自殺;シルクロードで出会った青年)
第4章 シルクロードを歩く(「仏教」を描き続ける;釈迦の生き方そのものへの関心;中近東の5か国で個展;外国で評価受けた日本画;中国・敦煌の遺跡保存)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ryuko
21
日本画家平山郁夫の自伝。15歳の時に広島で被爆し、まさに地獄を見た彼がおじのすすめで絵を志す。被爆体験、後遺症の苦しみ、若き日の挫折、お金の苦労、そして仏教、シルクロードに魅せられていった様子が柔らかな口調で語られる。本当に壮絶な経験だ。「広島生変図」怖いけれど観たい。2018/04/03
トッポ64
6
日本画家の巨匠である平山郁夫の自伝。仏教とシルクロードを生涯のテーマとして描き続けた理由について、原爆体験や色々な人々との出会いなど人生を振り返りながら語られる。坦々とした文体で、非常に読みやすい。優れた芸術家は文章も読みやすいのかと妙に感心してしまった。平山郁夫美術館には子供の頃に行ったきりなので、改めて行ってみたくなった。2017/06/11
ochatomo
2
落ちてくる原爆を見た体験に驚かされる 天賦の才能とそれを助ける環境に応えて努力を続ける姿に胸うたれる 1988刊 1998/10/24
なつ
2
平山郁夫美術館で購入。やはり被爆体験の話が興味深かった。生まれ育った瀬戸内海の青と魅せられたシルクロードの土の色。その道を見つけるのにも苦悩したという。そして数々のご縁。文学や哲学の古典を読めという大伯父からの教え。成功した画家にもいろんなストーリーがあった。2014/07/07
スエ
1
平山郁夫の静謐な群青の背景には、壮絶な被爆体験があった……。そして苦悩の果てに描いた「仏教伝来」と、その後のシルクロード巡礼。昨年平山郁夫の回顧展を見に行ったが、その前にこの本を読んでおけばよかった。2014/09/30