内容説明
いつの頃からか、作家の禁じ手とされてきた批評家への逆襲。そのタブーをあえて犯し、想像を絶する想像力と、神をも恐れぬ面白さで、文学を刺激し、読者を挑発する著者の、格闘技的エッセイ集。
目次
「悪意」への期待(強姦してもいい場合;冷たい鼻の駱駝;須磨寺駅周辺;幼児期の記憶への固執;「90年安保の全学連」を描いた時;横尾忠則の壮大な宇宙論;青少年の育成について;図鑑の驚異)
現実と超現実の居心地よい同居(『ピアノ弾きよじれ旅』解説;対話形式で進行するエロスと革命の機杼;賢治童話の官能;ご挨拶にかえて;巽孝之の批評;極私的大江健三郎論)
座長口上(文筆と演技;これからの大一座)
虚航船団の逆襲(日常生活を返せ;誤解してください;「虚航船団」の逆襲)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
25
☆☆★ 筒井のエッセイ・評論集としては、あまり面白くなかったのが正直な感想。作家の日常を覗き見るという点で、筒井は日記のシリーズの方が面白い。2023/08/07
やまねっと
7
雑文というか筒井康隆が書いた評論を寄せ集めたものだった。筒井康隆が凄いのは小説やエッセイを書くだけではなく、評論も書けるのが凄いと思う。この本は虚航船団を読んでから必ず読もうと随分前に買ったのだが、賛否両論あったからどんな罵詈雑言が飛び交うか楽しみにしていたが、少し肩透かしを食らった。というのもこれらの文が筒井康隆たるものの証明に値するものであるからだ。80年初頭から作者は実験小説を多く書いているが、失敗しているのも多くあると思う。虚人たちを読んでいたので、この作品がなければ虚航船団もなかったなと思った。2023/05/06
MIKETOM
7
筒井の『虚航船団』なる長編小説は賛否両論真っ二つなんだそうで、そのうちの”否”の書評などに対する反論が最終章。これはまあまあ面白かった。筒井は以前にも筒井作品を貶した書評をけちょんけちょんにやっつけたことがあってかなりの面白さだったし、筒井はこういうことになるとやたらイキイキしてていい。他に、筒井の個人的な劇団の宣伝的近況の章もまあまあかな。それ以外は、やたら論文調の文章が多くて、これは個人的に好きではない。筒井のエッセイなどの場合、身辺雑記風のほうがずっと好き。本書は5段階評価なら2かな。2023/01/09
モリータ
5
読んでて今日見た夢を思い出した。松方弘樹兄弟の記念パーティに出席してスピーチをする夢。なぜか松方弘樹・目黒祐樹兄弟の下に俺の知らない三男と四男がいた。四男は細面で宮本亜門みたいな感じだった(サングラスはかけてた)。松方弘樹って何の象徴?マグロ?サングラス?2012/04/07
Porco
4
雑文書なためか書かれた時代の都合上今ならアウトなフェミニズム論や男女のかけひき等が書かれている。 大半の文が書かれた昭和50年代は狂乱の時代であり、このころの筒井康隆はマッドとしか思えないくらい実験的作品が多く、今はいきすぎて「次つぎと似たような実験作を発表していたのではちっとも実験作ではない」というか文で表現する、世界観の圧が強い芸術家みたいな感じになっているので、この頃くらいに戻ってほしいのだが難しいんだろうな。2022/07/30