内容説明
外務大臣を歴任し、また特命全権大使として大正、昭和の困難な時代を生きた元首相の回顧録。その政策は「幣原外交」とよばれ、近代史上に重要かつ特異な位置を占めている。人と時代を忌憚なく語った貴重な外交秘史。
目次
第1部 外交50年(朝鮮の思い出;樺太を拾った話;アメリカの排日問題;ワシントン会議;佐分利公使の怪死事件;奉直戦争と日本;南京事件;東支鉄道の紛争;ロンドン海軍条約;首相代理;満州を売る話;在野外交;満州事変;二・二六、逃避行;憲兵隊の脅迫;近衛公との会談;組閣と憲法起草)
第2部 回想の人物・時代(外務省に入るまで;ロンドン赤毛布;デニソンを憶う;サー・エドワード・グレーのこと;外交調査会の前後;西園寺公の思い出;米内光政と山本五十六;鈴木貫太郎夫妻;オランダ女皇大いに笑う;汪栄宝との友情;国際連合と朝鮮;アメリカ雑話;アメリカ兵と理髪師)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
5
戦前「幣原外交」を推進、戦後は総理大臣として日本国憲法制定と活躍した幣原喜重郎の回想録。もと新聞連載だったようで各トピックが短くて読みやすい。内容はタイトル通り、外交家時代に偏っている。やはり口述当時は占領期、言いづらいのだろう。その分、外交家時代は率直で、自己弁護も美化も感じられず、結果面白い作品になったと思う。2020/09/21
讃壽鐵朗
2
若い頃の思い出が面白い2019/10/14
Hamaji_U
1
改憲するかしないかが注目されている折、今の憲法を作ったのはどんな人なのかを知りたくて読んだ。アメリカの言いなりとか軟弱とか言われているようだけれど、少なくともこの本を読む限り、一貫した理想と思想に基づいて世界の大局を見て政治をした人、と思える。語りは肩肘張らずユーモアもあり興味を惹かれる。いままで「憲法」とか「戦前戦後」とかあんまり好きなものではなかったけど、ちょっと興味が湧いてくる、良い読書でした。2018/02/03
葛
1
『外交五十年』昭和二十六年四月 読売新聞社刊 昭和二十五年九月五日から十一月十四日にかけ六十一回に渡り読売新聞朝刊に掲載 口述回顧録 中公文庫 1987年1月10日初版 1992年7月10日5刷 発行者:嶋中鵬二 カバー画:羽原智達 製版印刷:三晃印刷 カバー:トープロ 用紙:本州製紙 製本:小泉製本 発行所:中央公論社 2015/10/10
とおる
1
ある日私が日本クラブへ散髪に行くと、床屋さんはこの日の丸の旗を持ち出して、実はこうこういうわけで頼まれたのですが、どうかサインしてあげて下さいという。私は、「それはいかん。国旗に字を書くことは国旗を汚すものだ。それはよろしくない」というと、「国旗中の白い部分ならいいでしょう」という。「白いところも国旗の一部分なんだ。全部が国旗なんだから、それに墨を塗ることはいかん」2010/08/07