中公文庫<br> 生体解剖 - 九州大学医学部事件

中公文庫
生体解剖 - 九州大学医学部事件

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  • サイズ 文庫判/ページ数 276p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122009509
  • NDC分類 916

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

AICHAN

3
この生体解剖が戦後、裁判で裁かれた。食肉の嫌疑は晴れたが被告たちは有罪となり、何年間も牢獄に閉じ込められた人が多く、彼らのその後の人生に暗い影を落とした。取材を終えた著者は書いている。「医学を志す者にとって生体解剖がいかに魅力あるテーマであったかは、門外漢の理解をはるかに超えたところにある」しかも弟子や看護婦は軍命令だと思って解剖に立ち会ったのだから、「通り一ぺんの視点でそれを責め立てて済むほど事件は単純ではない」「もし私がその場にいたとしたら、事件に巻き込まれず孤高を保ったであろうか」と。2011/07/22

Kuri

1
映画海と毒薬を見て30年振りに再読、戦時中は人の心もどれだけ狂ってしまっていたのか再認識させられました。2013/04/12

AICHAN

1
昭和20年5月、九州大学医学部の解剖学教室でB29の飛行士たち8人が生きたまま解剖された。戦局は最悪のときで軍部は彼らをどう扱うか現地に任せた。現地の軍医の1人が大佐に「(彼らを)処刑するなら任せてもらえないか」と切り出した。彼は恩師のいる九大で解剖しようと考えていた。大佐は阿吽の呼吸で許可した。当時の九大第一外科教授は弟子の話を聞き生体解剖に引き寄せられた。解剖は数日にわたって行われ、肺、胃、肝臓、脳などの諸臓器を摘出したり輸血代わりに海水を使用するといった実験が行われた。

tonakai

0
最後の登場人物、彼は生涯言い訳できないと自分に言い聞かせながら、やはり自分だけはできる限りの抵抗はしたというのを心の救いとしてきたのではないか。声を大にして言いたかったのではないか。彼がそれをできなかったのは、人倫とか道徳ゆえでなく、ひとり自分を主張することを許さないこの社会ゆえでないか。それはこの事件を生みだした構造そのままだと思う2014/07/02

Atsumi_SAKURADA

0
まず、遠藤周作の『海と毒薬』およびその続編『悲しみの歌』を読んでください。話はそれからです。そして、米国の社会心理学者スタンレー・ミルグラムの『服従の心理』を参照してください。正義と悪とは、人間を包み込む運命の河口においては、海水と淡水以上に割り切れなく、そしてわれわれを苛む激流のように思えます。2013/12/31

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