感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
17
『銭形平次捕物控』を書いた作家だということをこれを読む数分前に気付いて、それでもしかし銭形平次を読まずにエッセイを読み終える……だって面白かったんだもん! 何気なく読みはじめたら止まらず、最後まで一気に読んでしまった。この人のこと、ほとんど知らないのにどうしてこんなに楽しめたのだろう。一度は名前を聞いたことがあるような著名人がさらっと出てくる。名前だけではなく、彼らとのエピソードも。読んでいて、わくわくした。2016/11/03
冬見
14
およそ一年ぶりに再読。以前より近現代文学の知識が増えたので、さらに楽しむことができた。石川啄木、正岡子規、原敬、原抱琴、鳩山一郎、直木三十五、横溝正史、新渡戸稲造、尾崎紅葉、幸田露伴、坪内逍遥、夏目漱石、泉鏡花、田山花袋、巌谷小波、内藤鳴雪、東条英機、三宅雪嶺、菊池寛、金田一京助、与謝野晶子……誰もが一度は耳にしたことがあるであろう人物たちとのエピソードがさらっとでてくる。2017/11/13
旗本多忙
13
本を読むのは飯を食うのと同様に好きなのだが、一つ物ばかりだとやはり飽きてくる。本棚に目をやると、古い「胡堂百話」が目についた。度々読むが、息抜きにはこうしたエッセイは良い薬になる。明治から昭和にかけて名だたる文豪との話も沢山あり、その交流の広さには舌をまく。銭形平次や時代小説の秘話などもあり、正に小説、文壇界の夜明のようなエッセイである。「三万両五十三次」が読んで見たくなった。2017/05/26
マーブル
9
『武士道を読む』の中で本書のことも紹介されており手に取った。なるほど『武士道を』で引用された話題がそちこちにある。盛岡中学時代。一高時代。そして新聞記者として活躍した30数余年。『銭形平次』の作者としての人生後半。昔の盛岡にまつわる話は、著名人達の若かりし頃の姿を生き生きと伝えてくれる。また、当時の街並みの活写は郷土史としての魅力もある。一年下の美少年石川啄木。金田一京助。正岡子規。夏目漱石。甥の達を通じて知り合った原敬。新渡戸稲造。子規との交流や葬式の話はこれまで持っていた知識を深めてくれる。2025/06/29
にゃん吉
4
銭形平次の著者の随筆集です。本書で初めて知ったのですが、著者は、明治18年生、岩手県出身、旧制盛岡中学、旧制一高卒、東京帝大中退、報知新聞社在籍中に銭形平次の連載を開始という経歴とのことで、同窓の石川啄木、金田一京助らとの交流、弊衣破帽の学生時代の逸話、新聞記者として接した夏目漱石、泉鏡花ら文豪の話、名物記者の話、銭形平次の創作秘話等々の幅広い話が並んでいます。著者の人柄、文体、明治、大正という時代の雰囲気が相まってか、全体的に、読んでいて、おおらかで伸び伸びとした気分のする一冊でした。2023/05/10