内容説明
義理・人情は日本社会の構造や日本人の心情の秘密を解く一つの鍵であるが、その正体は案外わかっていない。「義理と人情の板ばさみ」と「義理人情を解する」とでは、義理と人情の関係は全く違う。このような相矛盾した事実を把握する方法は何か。著者は日本社会、特に近世封建社会の構造とその変化に対応させて義理の統一像の形成を試み、義理と人情の結合の様態を西鶴、近松、近松以後の浄瑠璃、人情本、馬琴などを通じて明かす。
目次
1 「情と共感」の文化―日本的ヒューマニズム
2 義理の構造―個別主義的社会の人間関係(義理とは何か;義理的事実と義理の観念)
3 義理と人情の文学―『武家義理物語』から『人生劇場』まで(西鶴にみる義理と人情;近松にみる義理と人情;近松以後1―浄瑠璃の世界;近松以後2―人情本と読本の世界;明治以後―泉鏡花と尾崎士郎)
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