出版社内容情報
墨家の学団は春秋末期に墨子が創始し、戦国末まで儒家と思想界を二分するほどの勢力を誇ったが、秦漢の統一王朝成立とともに急速に衰え、思想界から姿を消した。 博愛主義(兼愛)を説き、侵略戦争を否定(非攻)する当時の異端思想であると同時に、その独特の思想に基づく武装防御集団を組織して各地の守城戦で活躍した。 本書は『墨子』の主要部分を抄録し、読み下し・口語訳・注釈・内容解説の順で配列した。巻頭解説は末永高康・広島大学教授による。
金谷 治[カナヤオサム]
著・文・その他
金谷 治[カナヤオサム]
翻訳
内容説明
侵略戦争を否定する「非攻」。天下を治める手段として、自己と同じように他者を愛することを説く「兼愛」。戦国時代、儒家と思想界を二分する勢力を誇りながら、統一王朝の出現とともに急速に消えていった集団の特異な思想の全貌。
目次
親士篇
修身篇
所染篇
法儀篇
七患篇
辞過篇
三弁篇
尚賢篇
尚同篇
兼愛篇〔ほか〕
著者等紹介
墨子[ボクシ]
紀元前5世紀後半~前4世紀前半。中国、戦国時代の思想家。墨家の始祖。姓は墨、名は〓(てき)
金谷治[カナヤオサム]
1920年(大正9年)三重県生まれ。東北帝国大学法文学部卒業。東北大学名誉教授。文学博士。2006年5月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かわうそ
42
読み下し文も欲しかったので購入しました。 しかし、おすすめはちくま学芸文庫の森訳です。森訳の方が圧倒的に分かりやすいので。ただ、ちくま学芸文庫版の『墨子』にはない、修身編などが収録されている点は嬉しい。『今、小しく非を為さば則ち知りてこれを非とし、大いに非を為して国を攻むれば則ち非とするを知らず、従いてこれを誉めてこれを義と謂う。』P54 普通、人を殺したら許されることはなく、正義の名の下に裁かれる。しかし、なぜ大量に人を殺す戦争という行為は許されるのか。単純ですが鋭い。墨子は実に魅力的です。2023/03/15
毎日が日曜日
2
非戦、非攻、兼愛は今の時代にも必要なものだと思う。守城の戦術論とかが面白かった。2018/08/07