内容説明
常襲するサイクロンや塩害の影響を受け、深刻な飲料水問題を抱えているバングラデシュ南西沿岸部。その農村においてフィールドワークを実施し、(1)「NGOによる飲料水に関する開発援助の実施状況」、(2)「水資源に対する村民と援助機関の認識」、(3)「飲料水についての村民の安全認識」、(4)「援助機関が有する開発理念が飲料水に関する開発援助に与える影響と実際に行われた開発援助の効果」について検証・考察。開発援助の効果を持続して問題解決につなげるうえでの“地域の視点”の重要性を明らかにし、地域研究の視点と知見がもたらす可能性を示す一冊。
目次
第1章 国際的な飲料水供給とバングラデシュの現状―本書の背景と目的
第2章 調査地の概況、調査方法、考察の対象とする飲料水源と給水施設―非砒素汚染地域の塩害村落であるJ村を事例に
第3章 シャムナゴール郡におけるNGOの活動と飲料水に関する開発援助の実施状況
第4章 地域特性への無配慮と水資源に対する認識の相違がもたらした給水施設の放棄という開発援助の失敗
第5章 飲料水に関する開発援助によって引き起こされる問題―村民の安全性認識に与える影響とその危険性
第6章 雨水貯水タンク提供事業の問題点―経済的側面の重視による貧困層の排除と貯水可能量の不足による通年での飲料水確保の困難
第7章 普遍的な飲料水供給が達成されない原因とその解決方策
第8章 効果的な開発援助の実現に向けた提言―得られた知見の応用可能性と地域研究の視点の必要性
著者等紹介
山田翔太[ヤマダショウタ]
立教大学異文化コミュニケーション学部/日本学術振興会特別研究員(PD)1992年生まれ。2022年、立命館大学大学院国際関係研究科博士課程後期課程修了(博士、国際関係学)。南アジア地域研究、国際開発学、開発社会学の視座から、バングラデシュにおける飲料水を中心とする水資源や、それに対する開発援助に関する調査研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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