出版社内容情報
千年王国を謳った共和政ローマはなぜ崩壊したのか。多様な系をたどり帝国支配の負の遺産をモンテスキューの透徹した視線が追う。
内容説明
繁栄と没落の「原因」を探る、「帝国」解体論の嚆矢。
目次
ローマの初期
ローマの戦争
ローマにおける戦術について
いかにしてローマ人は勢力を拡張したか
ガリア人
ピュロスについて
カルタゴ・ローマ比較論
ハンニバル戦争
カルタゴ人没落後のギリシア、マケドニア、シリア、エジプトの状態について
あらゆる民族を征服するためにローマ人のとった統治について〔ほか〕
著者等紹介
モンテスキュー[モンテスキュー][Charles‐Louis de Secondat,Baron de La Br`ede et de Montesquieu]
1689~1755。フランスの啓蒙思想家。ボルドー近郊で生まれ、長じて法律家として高等法院に勤めるが、絶対王政末期のフランスにおける不条理な政治や思想を軽妙に風刺した『ペルシア人の手紙』で注目された
井上幸治[イノウエコウジ]
1910年(明治43年)埼玉県生まれ。東京帝国大学文学部西洋史学科卒。同大学大学院修了後、平凡社嘱託となり『世界歴史事典』『世界大百科事典』の編集委員を務めた。その後、神戸大学、立教大学、津田塾大学の教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほし氏
1
タイトルに惹かれて図書館で借りました。国家の盛衰を左右するのは「情熱」のようです。国が貧しくとも国民に情熱があれば、それが「仮想」であれ士気向上となり勝利へと導き、逆に国が豊かでも国民に情熱が無ければ「仮想の損失」が内部に生まれ、国力が減退する原因になるようです。そして、国民から情熱を失わせる原因というのが「生活が豊かになること」そのものであり、古代ローマ市民においては日常生活上のすべてを奴隷にさせることにより、かえって「人間の主体」を失って弱体化したとのこと。なんだか、身につまされませんか(;´Д`)2019/11/22
デューク
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「社会が成立する時、制度を作るのは国家の元首たちであり、それから後に国家の元首を作るのは制度である」。啓蒙思想家である筆者が語る、ローマ帝国の盛衰。 筆者のモンテスキューが生きた時代は、アンシャン・レジームの末期であり、絢爛たるブルボン王朝の威光にも陰りが見えてきた時期である。そんな不安定な時代にこそ描かれた、古代史上最大の帝国の衰亡の原因とは。時代を超えても色あせない、栄枯盛衰の理とは。年号や人物名を覚えるのではなく、歴史から教訓を得たい人のための一冊。おすすめ2019/10/12