目次
眼に映ずる世相
食物の個人自由
家と住心地
風光推移
故郷異郷
新交通と文化輸送者
酒
恋愛技術の消長
家永続の願い
生産と商業
労力の配賦
貧と病
伴を慕う心
群を抜く力
生活改善の目標
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tharaud
3
購入してから十年以上かかって読了。テーマの身近さとは裏腹に、案外に抽象的な内容が格調高い文体で書かれているために読むのに骨が折れる。しかし「世相」として選ぶテーマには柳田の慧眼が光り、分析もおそろしく鋭い。風景や音などの小さな変化から産業のあり方のような社会構造の変化までを縦横に語ることはこの人以外にはできなかっただろう。今読んで印象的なのは、明治大正の女性の境遇が、一般にそれ以前と比べて従属的なものになったことを繰り返し嘆いていること、そして、今後の女性の活躍に期待を込めて一冊を終えていること。2023/05/07
Mentyu
2
柳田國男による明治大正期の世相批評。どことなくベンヤミンの『パサージュ論』と似た雰囲気がある。柳田國男と言えば民俗学のイメージだけど、本書はむしろ社会学の方でウケが良いらしく、冒頭解説にも社会学の書としての側面について書かれていた。私事ながら社会学専攻の後輩もお気に入りらしい。末尾の「われわれの考えて見たいくつかの世相は、人を不幸にする原因の社会にあることを教えた。すなわちわれわれは公民として病みかつ貧しいのであった。」という文言は非常に印象的。2018/08/29
人生ゴルディアス
0
明治・大正史と銘打たれてはいるが、歴史書として用に足るかというと、特に論証があるわけではなし、またあれこれの出来事に対して年号がほぼ出てこないので難しい。昭和一桁の時代に老境を迎えた学者が、生きてきた時代を振り返るコラムという感じ。その中で感じるのは、この本を今の老人が出しても、なんとなく話が通じてしまいそうだなというところ。社会的な問題は共通なのかな。とはいえ特に懐古趣味なわけではなく、現在を過去より良いものと見て、問題を解決できれば未来はもっと良いだろう、という雰囲気は読んでて楽しい。2015/02/17
LOHASPO
0
気楽に読めます。それでいて、世相なだけにわざわざ書き残されていない事なども多く、ほー、ヘー、なるほど、などとちょっと得した気分にもなれます。例えば、自転車が日本に入った時代、富裕層に嗜好品として買い求められ、嗜輪会という倶楽部が紳士の社交の場として各地に出来た事とか、日本にも自転車税があった事とか、トリビアルなオドロキもちょいちょい。外食に「どんぶり」の登場とか、その流行とか2013/06/05
勝浩1958
0
社会や生活様式が変わるには、いくつもの要素が絡み合いながら必然性が伴っているというように考察している。凡人には決して気付かない景色が見えているのである。2012/06/22