出版社内容情報
〈この死体はどうやって死に至ったのか?〉。死体に隠された真実を伝えることが「法医学」である。本書は、監察医時代から現在まで、解剖5000体以上、検死20000体以上の死体にかかわってきた著者が、さまざまな視点から殺害の手口と犯行目的、そして死因の謎を解説する。その上で、法医学からみた人体の不思議さを綴った内容。
昨今の座間9人殺人事件をはじめ近年の殺人事件は、猟奇殺人事件の傾向が強い。一方で未解決事件も多くなっている。窒息、焼死、放火殺人、失血死、溺死、射殺、埋められた死体。また、悲惨な首吊り自殺の現実、体内が破壊しつくされる飛び降り自殺、入水自殺・溺死、鉄道自殺・感電自殺・拳銃自殺、悲惨な一家心中親子心中など―。法医学では、死因を明らかにするためには画像診断だけでは分からない。解剖しなければ正確な死因確定にならない。死体が発見されたときの死後の状況は美しいものではない。死者からの声なき声に真摯に耳を傾けなければ、真相は分からないことを力説する。
近年のテレビでは、法医学をテーマにしたドラマが注目され「科捜研の女」、「法医学教室事件ファイル」など人気シリーズがある。一方で監察医になりたい医師が激減している実態があり、医療制度についても改革案を提言する。
上野 正彦[ウエノマサヒコ]
著・文・その他
内容説明
一般の医師は生きている人間を診るのが役割となる。しかし、監察医や法医学者は「死体の専門医」である。“死体の声”を聞き取り、その人がどのようにして命を失ったかを推察していく。病死なのか、事件性はないか―。30年間で2万件以上の検死と解剖を行ってきた天才監察医の著者が、猟奇事件や謎の多い事件の真相を徹底解説。死体に隠されていた本当の真実を炙り出していく。法医学のすべてがわかる一冊。
目次
第1章 法医学教室にようこそ(検視と検死;監察医制度の有無 ほか)
第2章 法医学と猟奇事件、未解決事件(バラバラ殺人事件と出血量;犯人の心理は三度変わる ほか)
第3章 法医学が見破った事件、見逃した事件(「生活反応」の重要性;死体を燃やしても消えない死因 ほか)
第4章 保険、遺産、偽装をめぐる法医学(自殺では保険金が出ない…;世間体と腹上死 ほか)
第5章 法医学の危機(敬遠される法医学;全国で行われている解剖の真実 ほか)
著者等紹介
上野正彦[ウエノマサヒコ]
元東京都監察医務院長・医学博士。1929年茨城県生まれ。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。59年東京都監察医務院監察医となり、84年同院長。30年にわたり変死体の死因解明に努め、2万件以上の検死と解剖を行ってきた。89年に監察医務院長を退官後に執筆した『死体は語る』が大ベストセラーになり、以後テレビ、雑誌などで活躍。死体再鑑定では300件以上の事案を請け負い、度々逆転判決を勝ち取り「上野鑑定」という言葉が生まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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