中公新書ラクレ
法医学事件簿―死体はすべて知っている

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  • サイズ 新書判/ページ数 203p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121506122
  • NDC分類 498.9
  • Cコード C1247

出版社内容情報

〈この死体はどうやって死に至ったのか?〉。死体に隠された真実を伝えることが「法医学」である。本書は、監察医時代から現在まで、解剖5000体以上、検死20000体以上の死体にかかわってきた著者が、さまざまな視点から殺害の手口と犯行目的、そして死因の謎を解説する。その上で、法医学からみた人体の不思議さを綴った内容。
昨今の座間9人殺人事件をはじめ近年の殺人事件は、猟奇殺人事件の傾向が強い。一方で未解決事件も多くなっている。窒息、焼死、放火殺人、失血死、溺死、射殺、埋められた死体。また、悲惨な首吊り自殺の現実、体内が破壊しつくされる飛び降り自殺、入水自殺・溺死、鉄道自殺・感電自殺・拳銃自殺、悲惨な一家心中親子心中など―。法医学では、死因を明らかにするためには画像診断だけでは分からない。解剖しなければ正確な死因確定にならない。死体が発見されたときの死後の状況は美しいものではない。死者からの声なき声に真摯に耳を傾けなければ、真相は分からないことを力説する。
近年のテレビでは、法医学をテーマにしたドラマが注目され「科捜研の女」、「法医学教室事件ファイル」など人気シリーズがある。一方で監察医になりたい医師が激減している実態があり、医療制度についても改革案を提言する。

上野 正彦[ウエノマサヒコ]
著・文・その他

内容説明

一般の医師は生きている人間を診るのが役割となる。しかし、監察医や法医学者は「死体の専門医」である。“死体の声”を聞き取り、その人がどのようにして命を失ったかを推察していく。病死なのか、事件性はないか―。30年間で2万件以上の検死と解剖を行ってきた天才監察医の著者が、猟奇事件や謎の多い事件の真相を徹底解説。死体に隠されていた本当の真実を炙り出していく。法医学のすべてがわかる一冊。

目次

第1章 法医学教室にようこそ(検視と検死;監察医制度の有無 ほか)
第2章 法医学と猟奇事件、未解決事件(バラバラ殺人事件と出血量;犯人の心理は三度変わる ほか)
第3章 法医学が見破った事件、見逃した事件(「生活反応」の重要性;死体を燃やしても消えない死因 ほか)
第4章 保険、遺産、偽装をめぐる法医学(自殺では保険金が出ない…;世間体と腹上死 ほか)
第5章 法医学の危機(敬遠される法医学;全国で行われている解剖の真実 ほか)

著者等紹介

上野正彦[ウエノマサヒコ]
元東京都監察医務院長・医学博士。1929年茨城県生まれ。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室に入る。59年東京都監察医務院監察医となり、84年同院長。30年にわたり変死体の死因解明に努め、2万件以上の検死と解剖を行ってきた。89年に監察医務院長を退官後に執筆した『死体は語る』が大ベストセラーになり、以後テレビ、雑誌などで活躍。死体再鑑定では300件以上の事案を請け負い、度々逆転判決を勝ち取り「上野鑑定」という言葉が生まれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よむよむ

85
テレビでお見かけする著者。小説の中の事ではなく、現実の検死の話はとても興味深く、出演に気がつけば番組を見てしまう。一度著書を読んでみたいと思っていたら、図書館でたまたま目につき読んでみた。監察医制度が、現在は東京23区と名古屋、大阪、神戸の三都市しかないと知り驚いた。予算が無いから、解剖されないという話はよく小説で出てくるが、制度までもが存続の危機とは怖いですね。死者の声を正しく聞き取りたい。死因を明らかにすることで犯罪を予防し、社会秩序の維持に貢献したい。熱い思いが溢れている著書でした。2018/08/10

zero1

53
死体は真実だけを語る。しかも雄弁に。目の前の死体は殺人?事故?それとも病死?監察医が追及しないと保険金殺人など犯罪の温床に。【検視と検死】に【行政解剖と司法解剖】。病死、窒息死、溺死の判断。縊死、窒息死、溺死の区別。バラバラ殺人の心理と殺人ゲームの登場(後述)。法医学は教科書に書いてない事柄が多く大学で学べない。【八何の法則】に監察医と裁判員。地域差の実態に矛盾脱衣の現実。📚️名著「死体は語る」で知られる元東京都監察医務院長が語る法医学の現実(後述)。【死後も名医にかかれ】は名言。2024/01/29

gtn

12
著者いわく窒息死の場合は頭蓋底がうっ血するので、病死と簡単に見分けられるとのこと。しかし、こんな簡便な死因判別が法医学の教科書に載っていないらしい。このため、犯人特定に繋がらないこともあるとか。白亜の塔の旧態依然ぶりに驚く。2019/03/10

aochama

7
著者の豊富な経験に基づいて「死者の声を聴く」法医学の実態と重要性が実際の事件を挙げて語られています。死体からのメッセージを読み解くことで転落なのか自殺なのか、殺人かどうかなど大概の原因が分かるそうです。ただ、こういったことを行う監察医は不人気でなり手がいないため、本来は事件性があることを見逃していることが多いとのこと。そのような社会への警鐘と提言も含んだ内容の濃い一冊です。2018/03/31

takao

3
ふむ2024/02/09

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