内容説明
大学改革のトップランナーとして走り出し、異端であることを誇りとする系譜を継承してきた慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス。その位置を踏まえ岐路に立つ日本の大学の現状を描く。
目次
第1章 FCはどう見られてきたか(学部長たちの自信;外からの視線)
第2章 日本の大学改革とSFC(SFC誕生まで;AO入試の影響度)
第3章 草創期を彩った人たち
第4章 卒業生たち(海外へ地方へ;社会起業家たち;社会起業家を後押しする人たち;多様な選択肢)
第5章 ライバルと未来の大学の課題
著者等紹介
中西茂[ナカニシシゲル]
1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。読売新聞社東京本社解説部次長、編集委員を経て、調査研究本部研究員。『読売新聞』の長期連載「教育ルネサンス」の取材班デスクを2005年1月のスタート時から2009年3月まで務め、読売新聞社による第1回「大学の実力」調査(2008年)の責任者も務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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B.W.
7
先駆者,慶応大学SFCの今までの取り組み,問題点,未来への展望が語られる。本文中で語られるが,SFCの取り組みは「異」であるが,「端」ではないが,日本の大学界における位置づけとしては相変わらず「端」であるように思われる。それはSFCの問題ではなく日本社会の問題。SFCが「端」ではなく大学界の中心と位置づけられる社会が待ち望まれる。2011/07/03
ソラヲ
4
「21世紀の諸問題は新しい学部ないし学際的な研究を通すことでしか解決できない」というポリシーから創設された湘南藤沢キャンパス。自分は一度潜り込んだことがあるのだが、周りに何もない田舎で明らかにアメリカ式のリベラルアーツが意識されていた。それは文理の区別のない多様な開講科目にも現れており、自分でカリキュラムを組み立てられる自立した学生が求められているように感じた。「多言語主義」に則ったユニークな外国語教育に関しては関口一郎『「学ぶ」から「使う」外国語へ―慶応義塾藤沢キャンパスの実践』(集英社新書)が詳しい。2015/12/07
Yappy!
1
全国の大学や同じ慶応大学でも”異端”であるという湘南藤沢キャンパス(SFC)について、読売新聞の記者が纏めたもの。思想や課題、卒業生の活動など幅広く掲載。二つの初代学部長や、成立までのライブ感ある流れは新聞記者らしい文。スズカンやカタリバ、NEWVERY、孫福氏(大学行政管理学会初代会長)、吉村融氏なども紹介されている。 特色ある学部が毎年のように設立される中、その意気ある一期生と作る文化をどう発展させ、本当に特色ある学部にしていくか、5年前でも古くさを感じない。課題が多くとも、名前だけの学部よりよい。2016/08/14
key-channel
1
慶應の中でも、異色の教育を続けているSFC。今までの大学教育が縦割りだとしたら、SFCはまさに横割りの教育をしてきたのだろう。単に単位を楽に取って卒業したい、とか人任せに大学生活を過ごしたい、という人には一切向かない環境だが、ビジョンを持って、なおかつ「独立自尊」に行動できる人にはいいキャンパスだと思う。そのことをよく感じさせる本だった。2011/01/31
kyomi
0
慶応SFCの20年を総括する内容。新たな試みのこれからに期待。22017/05/31