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中公選書
陸軍士官学校事件―二・二六事件の原点

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  • サイズ B6判/ページ数 253p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784121100238
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C1321

内容説明

「陸士事件なくして二・二六事件なし」といわれながら、あまりに謎が多く実像が明らかにされてみなかった重大事件の真相とはなにか。本書は当事者の日記・記録・回想や、捜査にあたった憲兵隊・軍法会議の記録のほか、初めて活字となる陸軍士官学校による士官候補生らの取調記録をも駆使し、事件の実相に迫っていく。

目次

第1章 皇道派と統制派の対立
第2章 陸士候補生と青年将校運動
第3章 「直接行動計画」から憲兵隊による検挙まで
第4章 陸軍士官学校における捜査の展開
第5章 軍法会議から磯部・村中の免官まで
第6章 真崎甚三郎教育総監から見た陸軍士官学校事件
第7章 陸軍士官学校事件の帰結―全体的考察

著者等紹介

筒井清忠[ツツイキヨタダ]
1948(昭和23)年、大分市生まれ。帝京大学文学部長、同大学院文学研究科長。東京財団上席研究員。京都大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程単位修得退学ののち、京都大学文学部教授などを経て、現職。文学博士。専門は日本近現代史、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

18
昭和史の泰斗が、丁寧な史料吟味によってその実像を明らかにしている。アウトラインは士官学校の血の気の多い若者が青年将校の動きに乗ろうと躍起になる中、その動きを当時陸軍を握りつつあった統制派が押さえ込んだというところか。辻政信の動きが極めて興味深い。一方教育総監であった真崎は、当時かつての盟友だった林銑十郎が袂を分かつて統制派と宇垣派の連合に接近する中、有効打を打てずじり貧となっていく。この後永田鉄山斬殺から2・26事件に繋がる一連の皇道派の動きの言わば開始点に当たる出来事で、当時の陸軍の分裂状況が見える。2018/02/20

叛逆のくりぃむ

13
 陸軍士官学校事件は226事件に至るエポックとされるが、その全貌を記した書は少ない。本書はその貴重な一書である。良質な一次資料に基づき、事件の全容に迫る著者の姿勢はまさに探偵小説の探偵そのものである。推理小説を彷彿させるという読者からの評価も頷ける。事件前から統制派の領袖と目された永田鉄山は皇道派に対する人事面での抑圧を強めていたが、事件以後はそれを強力に推進していくことになる。226のみならず相沢事件の遠因もここに見出すことも可能である。とにもかくにもこの事件が陸軍随一の手腕と頭脳を有した男の生命を奪う2016/06/24

ネコ虎

7
2.26事件までのいくつかの事件について知識が不十分なため、よく理解出来なかったが、詳しい人にとっては興味深い著作であろう。青年将校や士官学校生徒が軍隊の枠からはみ出た活動をしても寛容であったのが不思議だが、当時は異様な雰囲気に満たされていたのかも。皇道派と統制派の権力争いだが、真崎甚三郎の動きは鈍い。ほとんど永田軍務局長が陸軍全体を動かしていた。といって強引に決めるのでなく、いかに合意取っていくか。できないときは辻政信らを手先に謀略を使った事件がこの事件だ。無理をしすぎて永田は墓穴を掘った。2016/11/21

keint

6
いわゆる陸軍士官学校事件の過程とそれに関わる人々の事件前後における事情を解説している。 皇道派、統制派両方がこの事件で暗躍しており、辻政信の皇道派抑制策などさまざま陰謀が渦巻いていたと感じた。真崎甚三郎の教育総監解任などこの事件が皇道派の陸軍中枢からの衰退のきっかけになり、相沢事件そして二・二六事件への道になっていく。2019/10/01

ポン・ザ・フラグメント

6
この事件については、これまで青年将校の勇み足や辻政信の陰謀という、皇道派vs統制派の二極対立図式に単純化されてきた経緯がある。その中から士官学校生を独立の一極として三極構造に見た点が、この書の新味である。説得力のある視座だ。事件全体を統括できていた当事者などはいなかった。軍法会議になるまで「事件」は存在しなかったとさえ言える。しかし、この事件、佐藤というひとりのエキセントリックな士官学校生がいなければ、起きなかったかもしれない。続く相沢事件も二・二六もなかったかもしれず、その後の日本の歴史も……。2016/10/23

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