内容説明
上杉謙信の義の心を受け継ぎ、兜の前立てに愛の一文字を掲げ、戦国の世を駆け抜けた上杉家知謀の執政・直江兼続。豊臣秀吉を魅了し、徳川家康を畏怖させた傑物。その苦闘と栄光の生涯。第13回中山義秀文学賞受賞。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学商学部卒。1988年、『花月祕拳行』(講談社)で作家デビュー。新史料をもとに描く旺盛な作家活動には定評があり、時代小説界に新風を巻き起こしてきた。『天地人』で第13回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐治駿河
37
直江兼続が直江家を引き継ぐところから始まる中巻となります。歴史的事実なのでネタバレになりませんが、織田家による武田家滅亡、そして上杉家にも侵攻が開始。その後本能寺の変にて信長が死んだことにより状況が一変していきます。その後は真田幸村、石田三成らとの邂逅。後北条討伐を経て秀吉の実質的な天下統一となります。終盤では唐入りの話となり中巻は終了ですね。ちなみに前田慶次の話も極僅かに出てきますね2024/09/23
Our Homeisland
11
NHK大河ドラマの原作。若くして残念なことに亡くなってしまった火坂氏の作品。謙信の教えと遺志を継いだ兼続が主人公。とにかくとことん「義」。こんなにぶれない人物は歴史上でも珍しいと思いながら読み進めています。2019/09/26
ふくいち
10
大事件が起こった…で終わっていた上巻。本能寺の変にしては早いし,何だ?と思っていたら,お船の夫が殺害されたのか。史実だから仕方ないが,実力に見合った名跡を手に入れることになった+実は兼続とお船は好き合っていたという設定,直江信綱のかませ犬臭ぷんぷん。真田幸村も登場。悪役ではない三成も登場。漫画「花の慶次」で直江兼続を知った私としては,前田慶次郎との活躍も読みたいのだが,大河ドラマでも脇役だったし,登場してくれるだけましか。関ケ原,直江状…など,豊臣政権崩壊となる下巻が楽しみ。2016/09/14
わらわら
8
上杉家ピンチそれを救ったのは「本能人の変」明智光秀だったのか…。秀吉が天下を広げる渦に上杉家も巻き込まれていく、家臣として才覚をあらわす直江兼続、若干23~4歳の青年とは思えない決断のなせる業である。昨今家康側から物語を見ていたが兼続側からみる物語が面白い。秀吉の腹黒さ人たらしはどこから見ても変わらぬが家康もタヌキに見えてくる。兼続と同年代三成と中央集権に夢をたくす、下巻は関ケ原戦いまで物語が進むのか?直江兼続から目が離せなくなる。2024/01/16
かず
8
中巻では、兼続の直江家相続を冒頭に、物語は進みます。織田軍の来襲から本能寺の変、新発田重家の反乱と一時も気の抜けぬ日々が続きますが、秀吉との接近後、上杉家にとって束の間の安寧期を迎えます。その中で、盟友 石田三成との出会いがあります。純粋な理想主義者である三成と意気投合しますが、時にはたしなめる描写もあり、対比が妙です。「理と情の中間にこそ真実がある。」そう諭す兼続と、理解しようとしない三成。私も理詰めでとらえがちなので、三成を反面教師としていきたいです。分かっていても、なかなか難しいのですが・・・2015/06/30