出版社内容情報
「明」という漢字は、メイだけでなくミョウ、ミンとも読む。どうしてこんなに複雑なのか。音韻の専門家が歴史的経緯から解き明かす。
【目次】
内容説明
中国語に由来する、日本の漢字の音読み。たとえば「行」という字にはコウ、ギョウ、アンと読み方が三種類もある。なぜこんなに複雑なのか―。遣唐使がもたらした漢音、仏教用語に多い呉音、同じ仏教でも禅宗にまつわる唐音。これらの音が日本に伝来した時代や経路、定着した経緯を、音韻史の専門家がわかりやすく解説。現在の体系ができあがった歴史的背景を明らかにする。ややこしくて面白い、音読みの世界への招待。
目次
序章 漢字の音読みとは
第一章 仏教経典とともに―呉音
第二章 遣唐使とともに―漢音
第三章 禅宗とともに―唐音
第四章 中国語音韻学
第五章 江戸時代の漢字の音整備
終章 作られた漢音・呉音の枠組み
著者等紹介
中澤信幸[ナカザワノブユキ]
1971年(昭和46年)、三重県に生まれる。愛媛大学法文学部卒業後、名古屋大学大学院文学研究科に進み、博士後期課程修了。博士(文学)。長榮大学(台湾)助理教授、大島商船高等専門学校准教授等を経て、山形大学人文社会科学部教授。専門分野は日本漢字音研究史、日本語音韻史、中国語音韻史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
39
3系統の音読みの由来を詳しく知りたかったので、本書を手に取った。3つとも仏典の読み方が発祥とはやや意外。ではその元になった中国語は? となると時代的に広がり漠然とし始める。音声という研究対象のネックなのか。「明」の読み方は、江戸時代の辞書では「ベイ・ミャウ」がトップ扱い。慣用音(?)の「メイ」は近代以後、次第に無視できなくなったらしい。でもその最大の理由は(著者は書いていないが)江戸時代のあと、45年続く「明治」を、人々は何と発音していたか……ではなかったか? さすがに辞書も何とかするしかなかったのでは。2026/10/08
よっち
29
中国語に由来する、日本の漢字の音読み。遣唐使がもたらした漢音、仏教用語に多い呉音、禅宗にまつわる唐音が定着した経緯を、音韻史の専門家がわかりやすく解説する1冊。呉音は仏典、漢音は遣唐使の長安、唐音は禅の中国語。漢語だけ辞書に併記が残る不思議は、江戸時代に『韻鏡』による整備、文雄、本居宣長らによって漢音・呉音の区別が人為的に整えられた過程が大きく、さらに明治の漢和辞典と日本版『康熙字典』が現在の体系に繋がったようで、文法好きで漢字嫌いだったのが、音韻のしくみを知って逆転したという著者の想いが垣間見えました。2026/09/15
さとうしん
21
呉音、漢音、唐音から慣用音まで、ついでに中国漢字音も含めた漢字の発音の歴史と展開。字音仮名遣いが定められた経緯とその評価に触れられているのもポイント。「明」の漢音が「ベイ」というのはやはり違和感が大きかったんだなと思った次第。既知の事柄が多いが、こういう基本的なことをまとめてくれているのはありがたい。2026/08/24
ひよピパパ
20
副題にあるとおり、漢字の「呉音、漢音、唐音の奥深」さを教えてくれる。前半は基本的内容をまとめたものだが、後半は、呉音の複雑性、漢字に付いた「字音仮名遣い」(漢字に付いた歴史的仮名遣い表記)にまつわる問題点、近世の人為的な音整備の実態などが論じられ、けっこうややこしい問題があるのだなと納得した。2026/09/04
bapaksejahtera
16
一般には呉音漢音の別は愚か音訓の区別さえ怪しい世の中である。本書も冒頭はその水準を念頭に記述を始めており、この分野に聊かの関心ある私としては、楽に読み進める積りの処、次第に複雑難解な内容に戸惑う。特に中華の言語が中古の音韻(入声閉音節、有声無声対立)が変化する様や中世に導入された唐音の変容、我が国がおそらくは朝鮮経由で導入した呉音漢音の中華本土での様、韻鏡の再発見とその切韻への絶対音価の適用等、本書の明快な指摘は認めつつも、私には「謎を解く」どころではないレベルの理解に留まった。実に「奥深い世界」である。2026/09/26




