中公新書<br> 年貢―せめぎ合う江戸時代の領主と百姓

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中公新書
年貢―せめぎ合う江戸時代の領主と百姓

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  • サイズ 新書判/ページ数 264p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121029201
  • NDC分類 611.22
  • Cコード C1221

出版社内容情報

江戸時代、税の中核は年貢だった。
大名領が石高で表されるように、年貢は社会全体のありようまで規定していた。
だが、その実体はあまり知られていない。
検地によって面積と地味を定め、毎年の検見で作柄を調査し、負担額が決まる。
いつ払うか、貨幣で払うか現物で払うか、どこに納めるか等にも細かな規程があった。
一方で領主・百姓双方の思惑によって丁々発止の交渉が繰り返された。

年貢の成立から終焉までを巨細に解説する。


【目次】

はじめに

第一章 古代から豊臣政権期までの年貢
第1節 年貢の始まりから戦国時代まで
年貢の始まり/中世の百姓はなぜ年貢を納めたのか/戦国大名の検地と年貢/村による年貢請負
第2節 豊臣政権期の検地と年貢徴収
太閤検地/検地の実際/豊臣政権の年貢徴収法

第二章 江戸時代の年貢
第1節 年貢の意味と検地・石高制
年貢は税か地代か/江戸時代の検地/検地の用具と方法/石高と石高制/石高が年貢高から生産高へ
第2節 年貢の取り方
年貢の負担/厘取法と反取法/畝引検見と有毛検見/定免法への転換/年貢のあり方の時期的変化
第3節 年貢以外のさまざまな負担
多様な負担/漁村の貢租

第三章 領主からみた年貢
第1節 幕府領の場合
幕府領の年貢/幕府領の石高・年貢収入・年貢率の推移/一八世紀半ば以降の状況/一九世紀(江戸時代後期)の状況
第2節 大名領の場合
長州藩(萩藩)/熊本藩など/民政軽視の傾向
第3節 旗本領の場合
旗本領の年貢/年貢の地払い/年貢に代わる上納金の賦課/武左衛門の得た特権/先納による年貢の変質/村々による勝手賄

第四章 百姓からみた年貢
第1節 江戸時代の村と百姓
江戸時代の村とは?/村の住民/村の仕組み/村行政と教育・医療・セイフティネット/江戸時代特有の金融慣行
第2節 年貢を数字でみる
農業生産力の発展/一反当たり収穫量の増加/百姓にとっての年貢の重さ

第五章 年貢の賦課から上納まで
第1節 村における年貢の割付と徴収
村請制の意義/村に年貢割付状がやってくる/納付証明書に当たる年貢皆済目録/百姓各戸への年貢の割り付け方/村の蔵/重層する年貢請負
第2節 江戸への年貢米輸送
幕府領の年貢米輸送と村々の連合/主張する惣代庄屋たち/東北から江戸への年貢米輸送/買納の基準米価をいくらにするか/全国の納惣代の連携/廻米をめぐる百姓と武士

第六章 年貢をめぐる対立
第1節 百姓一揆と年貢
百姓一揆が起こる/前橋藩領の百姓一揆
第2節 村請制と村方騒動
百姓が定免法を求める/個々の百姓の年貢額は村が確定する/名主と百姓の納得ずくの年貢勘定/村方騒動が起こる/一つの村から全国を見渡す

第七章 年貢の矛盾が深まる
第1節 領主の理念と村の対応
年貢と村入用――信濃国高島藩領からみる/高島藩の年貢徴収法/徳帳仕法の特徴/村請制と公私分離/村入用と歩割仕法/歩割仕法の特徴/藩の意図と村の抵抗/表と内所、公と私
第2節 米相場がもたらすトラブル
松前藩領の酒田買替米/酒田買替米をめぐるトラブル/村役人と小前の対立/酒田買替米が教えること
第3節 村方騒動から百姓一揆へ
観音寺村の村方騒動/続く村内トラブル/百姓一揆と検地帳の破棄

終章 年貢から地租へ

内容説明

江戸時代、税の中核は年貢だった。領地を石高で表すように、社会全体のあり方まで規定していた。だが、その実態は知られていない。検地により面積と地味を定め、毎年の検見で作柄を調査する。「五公五民」などといわれる負担率は実際はどのくらいか。いつ払うか、現物納か貨幣納か、どこに納めるのかにも定めがあった。一方で領主・百姓双方の思惑によって丁々発止の交渉が繰り返される。年貢の成立から終焉までを巨細に解説。

目次

第一章 古代から豊臣政権期までの年貢
第二章 江戸時代の年貢
第三章 領主からみた年貢
第四章 百姓からみた年貢
第五章 年貢の賦課から上納まで
第六章 年貢をめぐる対立
第七章 年貢の矛盾が深まる
終章 年貢から地租へ

著者等紹介

渡辺尚志[ワタナベタカシ]
1957年東京都生まれ。東京大学文学部国史学科卒。1988年、同大学大学院博士課程単位取得退学。国文学研究資料館助手、一橋大学社会学部助教授、同大学大学院社会学研究科教授等を経て、現在、松戸市立博物館館長。一橋大学名誉教授。1995年「近世の豪農と村落共同体」で東京大学より博士(文学)の学位を取得。専攻・日本近世史、村落史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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よっち

26
大名領が石高で表されるように江戸時代の税の中核をなし、社会全体のあり方を規定した年貢の実体を成立から終焉まで詳細に解説した1冊。年貢の起源、中世百姓の納税理由から太閤検地の実際まで江戸時代以前の概況を踏まえつつ、江戸時代の検地から検見、定免法への転換や規定を解説する一方、幕府領・大名領・旗本領の具体例を挙げ石高・収入・年貢率の推移、仁政には程遠い実態を数字で示していて、年貢が村の自治を育んだ点や実は百姓の負担率が現代の租税負担率と大差なく、一揆や騒動で抵抗するもの言う民だった点はなかなか興味深かったです。2026/08/16

kk

26
図書館本。江戸時代を中心に、年貢制度の概要と変遷、思想的基盤、領主財政における位置付け、実質的負担の程度、賦課・徴収・納入実務の実態などについて、実例を参照しながら丁寧に解説。併せて、村請制を支えた村の在り方に注目することにより、幕藩権力体制下における末端での統治・権力関係の機序に光を当てる。その上で、米本位的体制が貨幣経済浸透により相対化されるにつれて年貢制度の矛盾が蓄積され、ひいては明治政府による地租改正の一因を成したとの見方。知ってるようで実はあまり知らなかった事柄に触れて、とても勉強になりました。2026/08/14

不純文學交遊録

17
江戸時代の農民支配を象徴する言葉が年貢。実際の負担はどうだったのか。その実態に迫る一冊。そもそも年貢は「税」なのか「地代」なのか断定できないという。そして年貢は個々の農家に課されたのではなく、領主は村の年貢の総額を示し、村人が各自の負担額を確定して上納する村請制だった。いわば連帯責任だが、村人の結束を強めて相互扶助の仕組が生まれた。実際の作柄から年貢額を算出する検見法から過去何年かの平均で算出する定免法への転換で、生産力の向上は農民の利益となった。農民は一方的に搾取されていた訳ではなさそうである。2026/08/15

fseigojp

7
貨幣経済が進行して商品作物の栽培がさかんとなり近代への準備ができていたことがよくわかった 名著? 難著?2026/08/25

於千代

4
江戸時代の百姓=虐げられていた人々、というステレオタイプを覆す一冊。確かに重い負担はあったが、ただ耐えるのではなく、したたかに自律的に動いていた。年貢輸送をめぐるトラブルでは、遠く離れた他国のリーダー層と共同して交渉し、老中への直接訴訟も、処罰されないと計算した上で複数人がタイミングや相手を分担して行うなど、かなり緻密に幕府と交渉している。また、年貢の定額化・貨幣納化が明治の地租改正の素地となったという、江戸から明治への連続性の指摘も興味深かった。2026/08/19

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