中公新書<br> 福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会

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中公新書
福音派―終末論に引き裂かれるアメリカ社会

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  • サイズ 新書判/ページ数 312p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121028730
  • NDC分類 198.325
  • Cコード C1214

出版社内容情報

アメリカにおける福音派の巨大な存在感は、近年よく言及される。
しかし、彼らはどのように影響力を拡大し、トランプ大統領の誕生や再選、あるいは政治的・文化的闘争に関係していったのか。
本書は、第二次世界大戦後のアメリカの軌跡を、福音派とその背景にある終末論に着目して描き出す。
そこからは大統領の政治姿勢はもとより、中絶や同性婚、人種差別、イスラエルとの関わりなど多くの論点が見えてくる。



【目次】

まえがき

序 章 起源としての原理主義

第1章 「福音派の年」という転換点――一九五〇年代から七〇年代
1 原理主義者と福音派のはざまで
2「福音派の年」とカーター大統領
3 終末に生きる選ばれし者たち

第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命――一九八〇年代
1 政治的な目覚め
2 モラル・マジョリティの誕生
3 レーガン政権と福音派のせめぎ合い――保守革命の裏で

第3章 キリスト教連合と郊外への影響――一九九〇年代
1 パット・ロバートソンの政治戦略
2 フォーカス・オン・ザ・ファミリーと伝統的家族観
3 クリントンの信仰と六〇年代の精神
4 ウォルマートとメガチャーチの止まらぬ拡大

第4章 福音派の指導者としてのブッシュ――二〇〇〇年代
1 ボーン・アゲイン大統領とネオコンの思惑
2 九・一一と小説のなかの終末論
3 信仰の公共性
4 スキャンダラスな福音派と右派の失速

第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー――二〇一〇年代前半
1 初の黒人大統領と福音派左派
2 オバマ・ケアと中絶問題
3 ティーパーティー運動
4 アメリカ建国偽史
5 高まる人種間の緊張

第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム――二〇一〇年代後半から
1 白人とイスラエルの味方として
2 保守化する司法と中絶・同性婚問題
3 キリスト教国家と非宗教者

終 章 アメリカ社会と福音派のゆくえ

あとがき
主要参考文献
略年表
主要人名索引

内容説明

近年、巨大な影響力を誇るアメリカの福音派。独特の終末論的な世界観を持つ宗教集団・運動は、いつから勢力を拡大し、政治的・文化的闘争に関与していったのか。本書は、アメリカの人種差別や中絶・同性婚問題、イスラエルとの関係などに福音派がいかに関わったのかを描く。カーター、レーガン、クリントン、オバマら歴代大統領、そしてトランプたちとの交差も示し、超大国に深い亀裂が入った経緯と現在地を照らし出す。

目次

序章 起源としての原理主義
第1章 「福音派の年」という転換点―一九五〇年代から七〇年代
第2章 目覚めた人々とレーガンの保守革命―一九八〇年代
第3章 キリスト教連合と郊外への影響―一九九〇年代
第4章 福音派の指導者としてのブッシュ―二〇〇〇年代
第5章 オバマ・ケアvs.ティーパーティー―二〇一〇年代前半
第6章 トランプとキリスト教ナショナリズム―二〇一〇年代後半~
終章 アメリカ社会と福音派のゆくえ

著者等紹介

加藤喜之[カトウヨシユキ]
立教大学文学部教授。1979年愛知県生まれ。2013年、プリンストン神学大学院博士課程修了(Ph.D取得)。東京基督教大学准教授、ケンブリッジ大学クレア・ホールやロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでの客員フェローなどを経て、現職。専門は思想史、宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

71
第一次トランプ政権以来耳目を集めている福音派。本書はその成立から現在まで、彼らが如何に政権と関わってきたかを描いた一冊。アメリカが宗教国家である事がよくわかる。トランプ始め共和党関係者との結びつきが目立つのは当然ながら、以外なのはクリントンとか民主党大統領とも意外な繋がりがあるところ。特にオバマとか完全に無縁だと思ってたけど…福音派の中でも右派左派あるのね。とあれ読んでいると福音派の歴史とともにアメリカの左右には絶対に妥協できない分断があるのがわかるなあ。日本の分断もそうなっている気がしないでもないけど。2025/10/21

ネギっ子gen

69
【米国は人種や信仰の多様性を認める世俗国家なのか、建国以来のキリスト教国なのか】独特の終末論的な世界観を持つ米国の福音派は、いつから勢力を拡大し、政治的・文化的闘争に関与していったのか。米国の人種差別や中絶・同性婚問題、イスラエルとの関係などに、福音派がいかに関わったのかを描く書。巻末に、主要参考文献・略年表・主要人名索引。類書多いが推薦する。<福音派の影響力は形を変えながらも、米国の社会構造の中に持続的な痕跡を残し続けており、リベラルな民主主義への挑戦は、まさに終わりなき戦いとなっているのである>と。⇒2025/10/09

Sam

55
アメリカを知るには宗教の理解が欠かせないがその中でも最重要なのが「福音派」。「福音派」がアメリカの社会や文化、政治に及ぼしてきた影響について知りたくて読んでみた。トランプ政権においても依然として「福音派」が大きな影響力を持っている一方で、いわばWASPのための宗派である「福音派」がアメリカの人口構成の変化とともに少数派となってきたこと、それでも現代のアメリカ社会の構造的分断に大きな影響を与えてきたことなどがよく理解できた。自分も含めリベラルな環境に育った人ほど知っておくべき世界がここにあるように思う。2025/10/26

ケイティ

39
福音派の歴史=アメリカの歴史というくらい、どのようにして現在のアメリカに至ったかがよく分かる。元はある意味純粋な宗教集団だった福音派だが、政治に目覚め絡み合い、勢力を拡大。独自の終末論と「古き良き白人社会」な保守的思想を掲げて、大統領選出から法案や政策、国際情勢まで、こんなにも影響していたとは。トランプもある日突然出てきたのでなく、小さな分岐点や流れが作用したバタフライエフェクトで着地した潮流の現在地。理解するためには、過去や歴史に目を向ける重要性を痛感した。2025/10/14

田沼とのも

27
1960年代の精神革命に対するクリントンと福音派の意見対立の解説を通して、福音派の思想がとても分かりやすく伝わった。両者共にグラハムの思想的な子供たちでありながら、ここまで立場が異なる人間の面白さを感じる。人種、性、マイノリティの自由や平等を拡大させなければならないというクリントンの使命感。米国を世俗化し道徳の面で相対主義をもたらした元凶とみなす福音派の危機感。さらにはクリントンの悔い改めを受け入れた米国民の赦しの感情が極めて興味深い。それら全てに福音主義の核となる教えが横たわっているとする理解が面白い。2025/11/12

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