出版社内容情報
生みの親と暮らせない子どもたちの成長を、市民が支えていく制度の意義や課題は何か。社会福祉学の専門家が事例をもとに解説する。
内容説明
実の親と暮らせない子どもたちはこの国で3万人を超える。彼らの成長を家庭内で支えていくのが、里親や特別養子縁組だ。前者は一時的に育てる公的養育で、後者は生涯にわたり親子関係が持続する。それぞれの家庭で、親と子はどう暮らし、どんな思いを抱いているのか。血縁なく中途から養育する制度の意義や課題は何か。子どもの支援のあり方に長年取り組む著者が、当事者へのインタビューなど多くの事例をもとに解説する。
目次
第1章 暮らしに困難を抱える子どもたち
第2章 親と別れて暮らす子どもたち
第3章 里親・養親になる
第4章 里親・養子縁組家庭での暮らし
第5章 「中途養育」の喜びと困難
第6章 過去とつながる
終章 里親・特別養子縁組のこれから
著者等紹介
林浩康[ハヤシヒロヤス]
1961年(昭和36年)、大阪府に生まれる。北海道大学大学院教育学専攻後期博士課程修了。博士(教育学)。北星学園大学助教授、東洋大学教授などを経て、日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授。専門分野は社会福祉学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てくてく
7
里親登録を増やすべく地方自治体は頑張ってはいるが、登録したからといっても子どもを託されないまま5年の更新期間が近づく話や、登録数分子どもが家庭的環境の中で養育されているわけではないところに、「職親」に近いものを感じた。自分を迎え入れてくれる側に過度に順応しようとして無理をする子ども、生みの親を知りたいと思ってもなかなかその情報が入手できなかったり里親の顔色をうかがって実親との交流を控えたりする子ども、逆に里親側にも気軽に相談できるところが多くないなどの問題があることを知る。2024/10/29
すのさん
4
日本の里親制度と特別養子縁組制度について、多くの事例を通じて当事者の葛藤や困難が描かれ、現実的な視点で問題を捉えることができた。筆者は、①啓発活動の推進、②養育家庭への支援強化、③育ちづらさを抱えた子どもへの専門的支援の重要性を指摘し、特に養育者をめぐる支援体制の不十分さを課題としている。また、社会全体で養育支援を考える必要性を訴え、子どもが自分の出自を知る権利を重視する。真実告知が自己肯定感や家族関係に与える影響についての考察も印象的だった。2025/02/09
預かりマウス
3
当事者へのインタビューを中心とした内容である。晩婚化の影響もあり、里親登録数は増えているが、実際に里子とマッチングするケースは非常に少ないという。それには様々な事情もあろうが、もともと家庭に何らかの問題がある故に里子に出されることが多いため、心理的トラウマを抱えており、通常の養育とは異なる困難が多いことも原因のようだ。特に年齢が高くなるほど新たな家庭への溶け込みが難しいのは当たり前のようだが、解決策としては、本書でも児相による細やかな対応が求められている。ただ、国全体の予算が厳しい中では難しいのだろう。2024/12/27
ソーシャ
3
里親制度と特別養子縁組制度の実情と課題について、保護者側、子ども側の声を紹介しながらわかりやすく紹介した一冊。制度が扱われたフィクションや当事者の語りが色々と紹介されていていい意味で中公新書らしくない本です。2024/12/31
バーニング
2
里親と養子縁組の事例集といったような構成だが、様々な事例を横断しながら解説する本は貴重かもしれない。著者が実際に集めたケースだけでなく、先行する事例や新聞記事、辻村深月の『朝が来る』のようなフィクションも交えているが、事例を使って解説するのが主眼なのでこういう事例の使い方もアリなんだな、というのは一つの発見だった。2024/12/18
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