出版社内容情報
17世紀ヨーロッパで流行した豪壮華麗なバロック様式。誕生から終焉までの軌跡を、絵画・彫刻・建築の名作紹介とともにたどる。
内容説明
西洋文化の頂点、バロック様式。17世紀を中心に花開いたバロックの建築・彫刻・絵画は、ルネサンス期の端正で調和のとれた古典主義に対し、豪華絢爛で躍動感あふれる表現を特徴とする。本書は、カラヴァッジョ、ルーベンス、ベルニーニ、ベラスケス、レンブラント、フェルメールらの代表的名作を網羅。美術史上の位置づけ、聖俗の権力がせめぎ合う時代背景など、バロック美術の本質を読み解く。カラー写真200点以上。
目次
第1章 聖―カトリック改革とバロックの舞台
第2章 光と陰―カラヴァッジョの革新とその系譜
第3章 死―殉教と疫病
第4章 幻視と法悦―幻視絵画から総合芸術へ
第5章 権力―教皇と絶対王政
第6章 永遠と瞬間―古典主義と風俗画
第7章 増殖―辺境のバロック
著者等紹介
宮下規久朗[ミヤシタキクロウ]
1963年(昭和38年)、名古屋市に生まれる。東京大学文学部美術史科卒、同大学院修了。現在、神戸大学大学院人文学研究科教授。著書『カラヴァッジョ 聖性とヴィジョン』(名古屋大学出版会、2004年、サントリー学芸賞など受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
101
対抗宗教改革の中で生まれたバロック美術の全貌を7つのテーマで語るという意欲的な構成で、数多くの図版とともに満腹感を味わう充実の一冊。聖/光と陰/死/幻視と法悦/権力/永遠と瞬間/増殖という7つのテーマが、狭義のバロックに限定することなく、古典主義、ルネサンス、マニエリスム、ロココ、新古典主義をも含めた大きな視野で語られる。確かに、カラヴァッジョもベルニーニも「法悦」という言葉がキーワードかも知れない。法悦を求める社会背景(寒冷化、飢饉、三十年戦争、ペスト、宗教改革)を知ることを通じて、本質が見えてくる。2024/02/05
夏
30
17世紀から18世紀にかけて世界中を風靡したバロック美術の概説書。絵画だけでなく彫刻や建築からもバロック美術の説明がふんだんにされている。さらには著者の専門のイタリアだけではなく、イギリスやスペイン、オランダやドイツなどへ派生したバロック美術についても説明がなされており、この一冊である程度のバロック美術の知識がつくと言っても過言ではない。中南米など手薄になっている部分もあるけれど、十分満足できる内容になっている。絵画や写真などもたくさん載っているので、バロック美術の荘厳さを感じられる一冊だった。星4.5。2024/09/29
ジュンジュン
13
読み通すのに時間がかかった…。大量のカラー写真掲載は理解を助けてくれるが、当然数多くの芸術家も登場する。その度にプロフィールと作品が随時紹介されるので、何だか作品リストをずっと読んでる気がして、煩雑さを感じてしまった。勿論、いい点もある。バロックとは何ぞやとか誕生した背景なんかが知れることができる。何よりカラー写真!建築に絵画、彫刻を網羅して、その特徴を解説してくれる。2024/01/08
ろべると
12
ルネサンスに続くバロックの美術の解説本であり、不足していた知識を補うのに役立った。著者はカラヴァッジョの専門家だけに、このバロック初期の画家の紹介に力が入っているが、盛期を代表するルーベンスや彫刻のベルニーニなどのイタリア美術が中心。カトリック世界で信者を圧倒する絢爛豪華なバロック美術は、ゴージャスで魅力的。スペインやドイツ、フランドルなどへの影響にも触れている。その反動としてロココや古典主義回帰という流れについての理解も深まったのはよいのだけど、バロック音楽との関係は特にないということでいいですかね?2024/05/22
ラウリスタ~
11
ルネサンスから新古典主義への間。フランスにとっては実は影が薄いのだが、イタリアを中心にバロック文化が花開いた。ルネサンスからの堕落、マニエリスムとされてきた時代の再評価としてのバロック。後半になるにつれて、単に同じ時代の各地の美術の解説という感じになって、必ずしも統一感のあるわけではない(フェルメールとか)ようにも思うが、前半はとても興味深い。19世紀の古典主義vs(ロマン主義)印象派、とかと同じ対立軸が初めてできたのが、ルネサンス(古典主義)vsバロック。あとがきが…そうだったのか、つらい。2024/08/23
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