出版社内容情報
大正時代に初の国産作品が作られてから、一〇〇年余り。現在、関連産業も好調で、国内のみならず海外でも人気が高い。本書は、日本のアニメの通史である。一九一七年の国産第一作に始まり、テレビでの毎週放送を定着させた『鉄腕アトム』、観客層を拡大させた『宇宙戦艦ヤマト』、監督の作家性をしらしめた『風の谷のナウシカ』、深夜枠作品を増大させた『新世紀エヴァンゲリオン』など、画期となった名作の数々を取り上げ、その歴史と現在を描く。
内容説明
アニメ大国の軌跡。
目次
1906年アニメーションとは何か
1917年 3人のパイオニア
1945年 プロパガンダが技術向上をもたらす
1956年 東洋のディズニーを目指す
1963年 空を越えて
1974年 戦艦、目覚める
1979年 空前のアニメブーム
1984年 100年後からの警鐘
1995年 最大の転換点
2006年 グローバリズムの光と影
2016年 揺るぎない長編アニメ大国
2020年 リモートの時代
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- 評価
COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
130
国産アニメの歴史について、ほとんど何も知らなかったと痛感させられた。戦前から多くの先達が努力を重ねてきた経緯や、幾度ものブームを経てアニメ受容の裾野が広がった事情、アニソンやファン活動まで拾い上げて発展した1世紀余を満遍なく理解できる通史が初めて誕生した。特に手塚、宮崎、富野、庵野、新海とクールジャパンの代表とされるまで大きな影響を与えてきた作家たちが、それぞれの置かれた状況に苦闘しながら理想を追求し続けた有様がわかる。コロナ禍で文化活動が停滞気味の昨今だが、時代を動かすほど魅力的な作品が生まれてほしい。2022/06/28
きみたけ
90
著者は日本大学藝術学部映画学科講師でアニメーション研究家の津堅信之氏。初の国産アニメが作られてから100年余りの日本アニメの歴史をまとめた一冊。毎週のテレビ放送を定着させた国産第1号アニメ「鉄腕アトム」、監督の作家性を知らしめた「風の谷のナウシカ」、深夜枠作品を増大させた「新世紀エヴァンゲリオン」など、画期となった名作を取り上げその歴史と現在を描いています。 私の中でアニメと言えば圧倒的に「ガンダム」ですね。「キン肉マン」もハマってました。アニメの歴史の授業のようでとても興味深かったです。2022/07/03
keroppi
74
100年余りになる日本のアニメ史を作品や監督中心に概説する。後書きによると、歴史になりきれていない最近20年間の扱いは塗炭の苦しみだったそうだが、特にそのあたりがこれまで語られていないだけに読み応えがある。作家性と商業性の間で揺れ動くアニメ作品の数々であるが、最近の大ヒット映画を「作品史に与えた影響も判然とせず、数十年後に歴史として語られる頃には、興行収入という数字だけで語られる可能性さえある。」と切り捨てる。日本におけるアニメを見つめる良書であると思った。2022/07/09
ハイランド
72
テレビが面白くない。雛壇芸人のクイズ大会やネットの動画を観てコメントするだけ。お前らこの程度の番組で満足だろうと言われているようで腹が立つ。対してアニメは作り手の熱を感じる(勿論ファンに媚びただけの作品も結構ある)。少なくとも作家主義の作品は巧拙や好き嫌いはあっても見応えがある。ということで日本アニメの歴史をおさらい。戦前の黎明期はともかく90年以降の流れは参考になった。それにしてもアニメもマンガも、ネットというメディアを得て増殖し、一人で全てをカバーするのは大変。頑張って好きを見つけていきたいものだ。2022/07/16
Isamash
44
アニメーション研究家の津堅信之・日大藝術学部講師2022年発行著作。アニメ作家の企業出入りとか把握していなかったので少し頭整理できた気がする。手塚治虫が作った虫プロが「あしたのジョー」を製作。タツノコプロはマッハGoGoGo、ハクション大魔王、みなしごハッチ、いなかっぺ大将、ガッチャマン、タイムボカン、ヤッターマンを製作し押井守が所属してた。ルパン三世はAプロダクション(宮崎駿在籍)が実質的製作。宮崎駿は「ルパン三世カリオストロの城」の後干されたらしいが見た人間としては当時圧倒されたので本当に驚かされる。2023/05/03