出版社内容情報
鎌倉殿の補佐役から幕政の最高実力者へ。後鳥羽上皇と対決した承久の乱では勝利を引き寄せ、鎌倉幕府の基礎を固めた武士の生涯。
内容説明
北条義時は十八歳で突如、歴史の表舞台に立たされる。義兄の源頼朝が平家追討の兵を挙げたのだ。義時は頼朝の側近として鎌倉幕府の樹立に貢献。頼朝没後、父時政に従い比企氏ほか有力御家人を排斥する。さらには父を追放して将軍補佐の執権職を継ぎ、甥の将軍実朝と姉政子を支えて幕政を主導。後鳥羽上皇と対決した承久の乱で鎌倉勢に勝利をもたらした。公武関係の変遷を辿り、武家優位の確立を成し遂げた義時の生涯を描く。
目次
序章 伊豆国と北条氏
第1章 流人源頼朝と北条氏
第2章 平家追討戦
第3章 幕府草創
第4章 鎌倉殿源頼家と北条義時
第5章 実朝・政子・義時
第6章 後鳥羽院政期の鎌倉幕府
第7章 承久の乱
終章 新たな公武関係
著者等紹介
岩田慎平[イワタシンペイ]
1978年(昭和53年)、和歌山県に生まれる。京都教育大学教育学部卒業。佛教大学大学院修士課程を経て、関西学院大学大学院博士課程に進み、博士(歴史学)を取得。専門分野は日本中世史(中世武士論、鎌倉幕府論)。関西学院大学、立命館大学、佛教大学で非常勤講師を務め、現在、神奈川県愛川町郷土資料館主任学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
78
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」に合わせて。題名こそ北条義時だが、彼の評伝というより保元・平治の乱から承久の乱までの通史といった趣の一冊。こういう通史みたいなのは大好きなので面白く読めたけど。平家物語などで源平合戦から義経追討、藤原氏滅亡までは割と知っているのだが、後半幕府成立後は御家人同士が兎に角争って族滅繰り返してたという知識しかないので、こちらは教えらえる事ばかり。「鎌倉殿の十三人」ってそういう意味だったのね。頼朝亡き後の権力闘争で、如何に北条氏が権力を握る事になったのかが説明され面白かったです。2022/01/24
活字の旅遊人
54
令和四年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に合わせて出されているのがよく分かる。今までそういう手には乗らないぞ、と思っていたが、今回は何故か興味を持った。第一話が面白かったからかな? 漫画で『吾妻鏡』を読んだ時、余りにも鎌倉幕府のことを知らない自分に衝撃を受けたのだけれども、どうやら潜在的に江戸幕府を基準にしてしまうのでなんだか掴みにくくなる気がした。京の貴族や上皇(法皇)との関係なくして、鎌倉幕府はあり得ない。それにしても日本は何重にも権力構造を作るのが得意だ。承久の乱をもう少し勉強しよう、と思った。2022/01/18
みこ
49
例年本屋に大河関連書籍が並ぶと、取りあえず2~3冊買っていたが、ほんの数年前に坂井孝一氏と本郷和人氏が他出版社から同時に「承久の乱」という本を出し両方一気読みしたためどれも手を出さなかった。それでも奇を衒わないシンプルなタイトルに一冊くらい読むかと購読。内容に新鮮さはなかったものの武士北条氏の他氏排斥は貴族藤原氏以上にエグイ。当時の周囲の人はよく受け入れたなと思うほど。大河も地盤はまだノホホンとした雰囲気だが、この先どう空気を一変させるのか見ものである。2022/03/02
ホークス
40
2021年刊。元来武士は朝廷組織の一員だったが、平安末期には権威より武力が重要になっていた。まず上皇たちが武士を使って摂関家から権力を奪い、次に平家や源氏が台頭して「支配階級としての武士」を予感させた。混沌の中で北条義時は一種の理想を追った面がある。朝廷支配を覆す大変革。旧に属する者の痛みと怨嗟は激しい。感謝されず依存する相手も無い局面は誰にでもあると思う。ドラマ『鎌倉殿〜』は、荒野で夢を見るこの感じが好きだ。当時の武士は領主でなく、公地や荘園の代官職を基盤としていた点も興味深い。とても分かりやすかった。2022/10/24
フランソワーズ
37
義時登場までの時代の、「中世武士」という存在を京・東国を分たずに俯瞰した後、鎌倉幕府成立とその後の政争を義時を含めた北条氏の動向を追いながら概説。その際、北条寄りの『吾妻鏡』にあえて実証的検証を深く加えることなしに、通説を批評しながら、時代の流れを捉えられるようになっています。さすがは中公新書です。2022/10/08