出版社内容情報
小説はいかに読めるか――。読書に正解はないかもしれない。しかし、小説世界を味わうコツは存在する。本書は、19世紀英国の地方都市を舞台としたG・エリオットの傑作長編『ミドルマーチ』を実例に、前半の「小説技法篇」で作家の用いるテクニックを解説。後半の「小説読解篇」では、歴史や宗教、科学、芸術などの〈教養〉を深める11の着眼点で、小説の愉しみ方を伝授する。ベストセラー『批評理論入門』姉妹篇。
内容説明
読書に正解はないかもしれないが、小説世界を味わうコツは存在する。本書は、19世紀英国の地方都市を舞台としたジョージ・エリオットの傑作長編『ミドルマーチ』を実例に、「小説技法篇」で作家の用いるテクニックを解説。続く「小説読解篇」では、歴史や宗教、科学、芸術などの“教養”を深める11の着眼点で、小説の愉しみ方を伝授する。知性と感性を研ぎ澄まし、文学の奥深くに潜むものを読み取るために。
目次
1 小説技法篇(プロローグ;題辞;語り手の介入;パノラマ;会話 ほか)
2 小説読解篇(宗教;経済;社会;政治;歴史 ほか)
著者等紹介
廣野由美子[ヒロノユミコ]
1958年生まれ。1982年、京都大学文学部(独文学専攻)卒業。1991年、神戸大学大学院文化学研究科博士課程(英文学専攻)単位取得退学。学術博士。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。英文学、イギリス小説を専攻。1996年、第4回福原賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
100
「ミドルマーチ」という文学作品を書かれたジョージ・エリオットという作家は名前だけは知っていますが作品は未読でした。この本で「ミドルマーチ」を訳された著者がこの作品の書かれた背景や内容などをかなりきめ細かくまたほかの国の作品などを引用されて紹介されています。この本を読むと読んだ気になってしまうのではという気もしますが逆に読みたくなってしまう気持ちの方が強くなっています。2024/03/10
ケイ
80
ドロシアは自己実現できたのだ、子供の頃の夢を当時の家父長制の下で自分なりに叶えたのだなと、ここで抜き出して説明されていることを読んで感じた2025/02/07
ころこ
42
タイトルがミスリードしている。『ミドルマーチ』を読んでいなければ面白く読めない。『ミドルマーチ』は何が書かれているか理解するのに時間が掛かる作品だが、本書はその岩盤を溶かす効果がある。著者の手品のような手さばきに惹き込まれて、同時に他に応用可能な文学理論にも親しむことができる。そうすると『ミドルマーチ』も本書も共に優れた洞察に溢れていることがわかるだろう。『ミドルマーチ』が込み入っているため、プレビューとして一部を読む手はある。しかし全部読むのは、手品を体験せずに種明かしだけされているように感じるはずだ。2024/09/18
みつ
28
新年早々、この本の著者の素晴らしい訳による光文社古典新訳文庫版の『ミドルマーチ』を堪能したところ。その解説も充実したものであるが、本書ではさらに踏み込んでこの小説の魅力の源を多方面から探ってゆく。前半の「小説技法編」では、「語り手の介入」「パノラマ」「象徴性」「ポリフォニー」など、作品の構成に潜ませた様々な技法を解き明かし読み応え十分。後半は「小説読解編」で物語の重要なトピックを各場面の引用とともに再現する。そうだこんな箇所があったと改めて作品をなぞることができた。充実した分未読の方にはネタバレの危険も。2024/01/15
けんさん
20
『小説を深く読み解くための技法、教養とは?』 19世紀のイギリス古典『ミドルマーチ』(文庫本で約1500ページの超長編)を題材に、生きる力を培うために有用な物語の読み解き方を紹介する。今まで意識したことのない多くの視点が紹介されていて、これから小説を読むのが、もっともっと楽しくなる、、かも。2021/07/19