出版社内容情報
第二次世界大戦におけるドイツ国防軍の脱走兵は、捕まって死刑判決を受けた者だけでも3万人以上と、他国に比べて際だって多い。その多くは戦闘中の逃亡ではなく、民族殲滅などを目にした、命懸けの抵抗としての脱走であった。戦後になっても、彼らを断罪したナチスの司法官たちが続々と復権する一方で、彼ら脱走兵は長い間、名誉回復されないままだった。ある脱走兵の生涯から人間の尊厳を見つめる。
内容説明
ナチス・ドイツ国防軍の脱走兵は、捕らえられて死刑判決を受けた者だけでも3万人以上と、英米に比べて際だって多い。その多くは戦闘中の逃亡ではない。民族殲滅に加担したくないという、生命をかけた抵抗であった。戦後、生き延びた脱走兵たちは久しく卑怯者と罵られ、存在までも否定されつづけるが、ついに軍法会議の不当な実態を暴き、名誉回復をなし遂げる。最後の脱走兵の生涯を通じて、人間の勇気と尊厳を見つめる。
目次
1 軍法会議と庶民兵士の反逆(ヒトラーの国防軍;苛酷な軍法;生きのびた脱走兵ルートヴィヒ・バウマン)
2 引き継がれるナチスの判決と罵倒される脱走兵(アデナウアーの内政と居座るナチス軍司法官;引き継がれるナチスの判決;脱走兵ルートヴィヒ・バウマンの苦悩と絶望)
3 「我々は裏切り者ではない」―歴史家たちの支援と世論の変化(立ち直ったバウマンと脱走兵復権の動向;脱走兵追悼の動き;ナチス軍司法への批判―シュヴィンゲ対メッサーシュミット/ヴュルナー;「ナチス軍法犠牲者全国協会」の設立;司法の転換と世論の支持)
4 復権する脱走兵(政治課題となった脱走兵の復権;院外活動と連邦議会の変化;脱走兵の復権なる―「改正ナチス不当判決破棄法」;バウマン最後の闘い―調査研究所『最後のタブー』)
著者等紹介
對馬達雄[ツシマタツオ]
1945年青森県生まれ。東北大学大学院教育学研究科博士課程中途退学。教育学博士(東北大学、1984年)。秋田大学教育文化学部長、副学長等を歴任。秋田大学名誉教授。専攻・ドイツ近現代教育史、ドイツ現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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